皆様こんばんは。fukunomoの松岡です。今回皆様にお届けいたしましたお酒は笹の川酒造様から『純米吟醸 春酒 しぼりたて生』です。
新年から春先にかけて、日本酒は新酒の時期を迎えます。ひと口に新酒といっても、フレッシュ感は共通するものの個性はさまざま。今回もまた、個性ある春酒をお届けしております。
とは言え、個人的には笹の川さんのお酒について今まで明確なイメージはありませんでした。おいしくて飲みやすいけれど味を思い出そうとすると難しい……そんな笹の川さんの杜氏さんが変わり、蔵元の奥様である女性杜氏になられたとのことで、生まれ変わる『春酒』を楽しみにしていました。
理想のお酒を説明するとき、多くの方は「香りはフワッと華やかで、味は甘すぎずしっかりお米の味が感じられて、後味はすっきりキレがあるのがいいな~」という風に語るはずです。お酒の“味”は舌の上に乗る味だけではなく、香り、そして飲み込んだ後の後味にも大きく左右されます。
でも、この三者のバランスを取りつつそれぞれに理想を追及するのは容易なことではありません。よい香りを出そうとすると味はあっさりしすぎ、濃厚な味わいを出そうとすると後味がべたついてしまう……理想のお酒の設計はいいとこどりという訳にはいきません。
しかしこの『春酒』、そうしたワガママをいっぱいに詰め込んだ、なんとも不思議で印象深い1本に仕上がっています。香りは華やかでフルーティー、しかし味はグッと濃厚でお米の甘さとコクが舌に広がり、そして何よりスッと掻き消えていく後味! 舌の後ろ半分に味がいかないレベルです。今までいろいろなお酒を飲んできましたが、これほどまでに味の濃厚さと後味のすっきり感のコントラストが見事なお酒にはめったにお目にかかりません。
杜氏さんもこだわったと仰る香りと後味、ぜひ一緒に驚いていただけると嬉しいです。
では、楽しい日本酒ライフを!
冷やして、ひと口ずつじっくり味わいを楽しみながらお召し上がりください。香りが控えめで濃い味のおつまみが合います。