製造量が限られており、なかなかfukunomoで取り扱う機会を見つけられずにいた峰の雪酒造さん。
今回は、関東地方で峰の雪の営業担当をしている工藤エレナさんの計らいで、限定酒『斗南朱雀』をお譲りいただけることとなりました。
工藤さんも交えて、杜氏の佐藤健信さんにお話を伺いました。
杜氏 佐藤 健信さん
1979年生まれ。大学卒業後、新潟の「麒麟山酒造」での営業と酒造りの修行を経て、2009年より峰の雪酒造場へ。現在に至る。
もともと、父の跡を継ぐつもりで、東京農業大学の醸造学科を卒業しました。卒業後は新潟県の麒麟山酒造という酒蔵に6年勤め、2009年から峰の雪に戻って酒造りをしています。
私が蔵に戻った頃、日本酒は普通酒を中心に製造し、大半を東京に出荷していました。価格競争に巻き込まれ、このままではいけないと思い立った父がミードの製造・販売をはじめたのもその頃です。本当に売れるのか、半信半疑で始めたのですが、他の蔵が造っていなかったからか、マスコミにも取り上げられ、展示会でも引き合いがありました。今や、峰の雪を代表する商品に成長しています。逆に、日本酒の方は知名度がもともとなかったので、イベントなどでも、ミードを造る蔵だと思われて、『蜂の雪さん』なんて呼ばれたりしたこともありました(笑)。展示会のパネルや、新聞紙面にも『蜂の雪』と書かれたときにはびっくりしましたね。ミードを評価してもらえるのは嬉しいですが、日本酒の蔵としてしっかり評価してもらえるよう、良いお酒を造ろうと決意しました。
その後、蔵でほとんど造られていなかった、普通酒以外の特定名称酒を造り始めるのですが、「誰が飲んでも忘れられない個性的なお酒を造ってやろう」と気持ちが先走ってしまい、最初はかなり尖った味のお酒を造っていました。酸度が高くて、甘さがバツーンとくるようなお酒で、ラベルも白ワインをイメージしたようなもの。結局、個性的すぎて売れないし、コンテストに出しても賞もとれませんし、そもそも自分自身が飲みたいと思うような酒ではなかったんです(笑)。 だんだん「これって自己満足なのかな……」と思ってきました。一度、基本に立ち返って、自分が毎晩、晩酌で飲みたいと思うような味、具体的には、ほんのり甘くて、香りがあって、ちょっと軽い感じのお酒。それを一から造りました。そうしたら、2016年のSAKE CONPETITIONでは、出品した2つのお酒がシルバー賞を受賞したんです。その年は他にも、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)でゴールドメダルを、純米酒大賞で金賞をとりました。そうやって結果を出して、「やっぱり自分の好きなお酒の味をベースに質を高めていくと、ちゃんと評価してもらえるんだな」と実感しましたね。
今でも、個性的なお酒を出したい気持ちはあります。ただ、定番商品としては、いわば王道のものを出すようにしています。私が勝手に王道と言っているだけなので、「いやいや、このお酒クセあるよ」と周りからは言われてるかもしれないですが(笑)。 多くの人に愛される王道的な良さがありながらも、峰の雪らしい個性がある。そんなお酒を、これからも時間をかけて突き詰めていきたいです。
峰の雪酒造場
福島県喜多方市桜ガ丘一丁目17
TEL.0241-22-0431
http://minenoyuki.com/