今月のお酒は「笹正宗 純米吟醸」
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@sake_kaeru)が、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
2020年8月号は、福島県最北端に位置する酒蔵、喜多方市の笹正宗酒造さんからお届けする「笹正宗 純米吟醸」です。
【連載第24回目】
長い梅雨が明けたと思ったら、一気に暑い日が続いておりますね。今回は、そんな暑い夏に特にぴったりの福島の酒、会津地方の喜多方市から「笹正宗 純米吟醸」が届きました!
実は今回、この暑さの中で届いたお酒が笹正宗であったことが、個人的には小躍りするくらい嬉しい。実は個人的にもまさにこの時期、今、笹正宗さんは特に飲みたい銘柄だったのです。
笹正宗酒造さんは文政元年(1818年)創業の、喜多方の老舗蔵。
伝統の技と味を守りつつ、同時に「切磋琢磨し先進的な取り組みを続けること」自体もまた新たな伝統として築きあげることができる蔵元で、当時は一般的ではなくなってしまっていた「純米酒」にあたる酒を1977年で全国でも先駆け的に復興させて醸造・販売しています。1979年には東京サミットを訪れた当時の米国カーター大統領が、笹正宗の純米吟醸酒を絶賛したと伝えられているほど。
そして今回届いたお酒も、その笹正宗の「純米吟醸酒」。かつての米国大統領が絶賛したお酒と同じ蔵元の、同じグレードのお酒が手元に届く。これは期待が高まりますよね。
では今回も早速、開封していきましょう♪
・笹正宗 純米吟醸
封を開けて匂いをかぐと、「これぞ会津の酒」と言うべき、とてもやわらかくまろみのある吟醸香がほのかに立ちます。とても上品で綺麗でありながらも、心にじんわりと沁みるような心地良さが両立する。
この官能的な香りが、気持ちを鷲掴みに…といいつつも、実際にはとても優しく穏やかに、そっと手を添えられエスコートされるかのような感覚を覚えます。この時点で、すでに期待感と安心感という矛盾するかのような二つの大きな情動と共に陶酔してしまいそう。
高級レストランのような上等な品質を馴染みの家庭の食卓で、あるいは高級旅館の懐石料理を部屋食で寛ぎながら気心知れた親しい人と一緒に味わうかのような贅沢。それが、この酒にはあります。
この酒を、今回は中が素焼きになっているお猪口に注ぐ。
すると、凹凸のざらつきがさらに香りをまろやかに一層引き立てるのでいよいよたまらない。口にそっと含むと、そよ風の残り香のような爽やかな心地よさとともに、とてもマイルドに調和された旨味、酸味、甘味が一気に口の中にひろがっていきます。
加えて、それらの風味にさらに一味。奥行きを与える僅かな苦味が素晴らしいアクセントとして響き、じわじわと効いてくる。
それぞれの味の一つひとつがとても高度な仕上がりでありながらも、その全てにエグ味やカドは無い。まるで職人が製品をミクロ単位で研磨した芸術的な曲線美アートのように、本来はぶつかりあいやすい個性同士が絶妙なバランスの中で調和をしている。これはまさに笹正宗の本領発揮といいますか、実にお見事。
しかも、それらのやわらかい口当たりの後に続くのは、あくまでも綺麗で上品な余韻。旨味だけで押し切らない。口当たりの良さだけでも押し切らない。綿密に計算された、もてなしの酒。改めて今、このお酒が飲めてよかった…!
そんな「笹正宗 純米吟醸」が楽しめる今回のfukunomo。これが今回の「笹正宗 純米吟醸」のために誂えたおつまみとのペアリングで、さらにその魅力を増していきます。
夏にぴったりの、暑気を払うほどに強く心地良い酸味、食欲をそそる強い爽やかな香りと風味に奥行きを与える僅かな苦味。口にした瞬間から幸せを感じさせる一際強い甘さのある旨味。これらメリハリのある四味全てが一体となってのペアリングを楽しめるのが、今回のセットと言えますね。
これは暑い今の季節に本当にうれしい。ぜひ、出来る限り多くの方に味わって頂きたい一本です!
今月のマリアージュ/ペアリングセットは
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- 鰊の山椒漬け<会津若松市/会津丸善水産株式会社>
- 野菜が好きになるスープ オニオン<福島市/内池醸造株式会社>
- カクテキ<白河市/こまや合同会社>
- 三春ぴーまん味噌<田村郡三春町/有限会社大畑屋食品>
- 福島県産なす<福島県内の生産者の皆様>
・鰊の山椒漬け
会津を代表する貴重な食文化の一つである、鰊の山椒漬け。一度この味を知ってしまったら根強いファンになる人も続出の郷土料理です。
地元でも日常的に楽しまれていて、特に会津地方の居酒屋などに入ると自家製の山椒漬けがお通しで出てくる…なんてことも、珍しくありません。
特に脂がたっぷりのった鰊を山椒と共に漬け込んだこの品は、舌に滑らかさを感じるような凄まじい旨味が凝縮されつつも、山椒と酢の爽快な香りと酸味とが交じり合って、絶妙のハーモニーを醸し出します。
酢の物や魚が好きな人には、もうたまりません。ましてや、夏の暑い時期に食べればもう、絶品。
ここに「会津の酒」でありつつ、特に穏やかな口当たりながらも爽やかさのある笹正宗を合わせてあげると、その相性は抜群! まさに、山椒漬けに合わせるための理想的な酒を用意したと言っても過言ではありません。
・野菜が好きになるスープ オニオン
今回、数ある美味しいおつまみの中でも特に個人的にヒットだったのがこのスープ。昔、一人暮らしのときに大好きで通ったフランス料理店で出してくれたスープを思い出させる、とても上質なオニオンコンソメスープ。玉ねぎのどこまでも優しい自然な甘さと蕩けるようなコクの旨味。
ああ、昔はフランスのワインを飲みながらこういうスープを楽しんでいたなあ・・・なんて思いつつ、よく考えたら今回の「笹正宗 純米吟醸」は上品な吟醸香と味に深みを出すほのかな苦み、コクと酸味のバランスなど考えても、実はワインのような楽しみ方も出来るじゃないですか。
箸休め的に和食から洋食へと趣向を変えたおつまみを用意することで、同じお酒の別の表情、魅力も感じさせてくれる。この緩急メリハリをつけたペアリングの面白さや発見、意外性や驚きこそが、やはりfukunomoの魅力だと思うのです。
・カクテキ
洋食の次は、韓国食。と言っても、日本でもすっかりおなじみのキムチの一種です。
カクテキというのはダイコンのキムチのことで、白菜キムチはペチュキムチ、キュウリのキムチはオイキムチ、などと実は名前が違うんですね。
このカクテキ、福島県内の白河で作っているとのことですが、強めの酸味と旨味、まろやかなコクのある辛さ、しつこくない甘さとが絶妙。本場韓国の製法を感じさせる味わいと発酵の加減が、実にお見事です。
まろやかな辛さなので味覚が麻痺することもなく、こちらもまた、酸味、香味、甘味、苦味といった多彩な味わいを一度に楽しませてくれます。特にこの辛味は、苦味と合わせて食事全体のメリハリやアクセントにもなるところがうれしい。
こちらのカクテキも、残った漬け汁は炒め物などを作るときに、仕上げにフライパン上でソースとして絡めて一緒に火を通してあげると無駄なく美味しく楽しむことができます。
豆付きもやしなどと絡めて韓国料理風に楽しむのも良し、この時期だと他に、カツオの切り身の炒めなんかと合わせるのもいいかも。
・福島県産なす
・三春ぴーまん味噌
新鮮な地元の茄子は、そのまま焼いて田楽味噌のようにして食べてもとても美味しいのはもちろんのこと、細かく切った茄子と豚肉の炒め物にたっぷりの生姜と一緒にこの味噌を入れてあげると、夏にぴったりのスタミナメニューに早変わり。
生姜の香りと甘辛さ、そしてピーマンのほろ苦さがほどよく馴染んだ味わいは、酸味、香味、苦味、甘味の4つの魅力がつまった一品。
今回の笹正宗とも非常によくマッチします!
なお一度に使い切らずに残ったピーマン味噌は、他の身近な夏野菜とも合います。先月頂いた余蒔きゅうりなんかをこれにディップして食べても美味しそうですね。( *´艸`)
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今回も、季節感がありつつ意外性も楽しめる福島のお酒とおつまみのペアリングを用意してくれたfukunomo。
これは、たとえ福島県内に暮らしそれぞれのお酒やおつまみの良さを知っている身であっても毎月とっても楽しめて、今月も大満足でした。ごちそうさまでした!(*´▽`*)
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