今月のお酒は「陣屋 純米 夢の香」と「霧の華」
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@sake_kaeru)が、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
2020年9月号は、虎マッコリで名を馳せる白河市の有賀醸造さんからお届けする「陣屋 純米 夢の香」です。
【連載第25回目】
とても暑かった8月が終わり、9月になりました。
いよいよ食欲の秋をむかえ始めたこの時期にも、やっぱり福島のお酒とおつまみは美味しい!
今回届いたお酒は県南の白河市、有賀醸造さんからです。(*´▽`*)
「一生の粋な酔いを」をモットーに、世界に誇れる日本酒の醸造を行っている有賀醸造さん。杜氏はなんと、元理系研究者だったりします。東日本大震災を機に実家に戻り杜氏に就任なさったとのこと。
研究者ならではのデータの裏付けによる緻密な設計と、蔵の伝統とを融合させ醸した新世代の日本酒「陣屋」は、SAKE COMPETITION2016純米酒部門では401点にも及ぶたくさんの部門出品酒の中から8位の成績を叩き出した実力。県内外でその魅力が非常に高く評価されるとともに、飲んでその味に惚れ込む人も続出。またたく間に蔵の看板ともいえるブランドに急成長しました。
それでは、今月も早速開けていきましょう♪
・陣屋純米 夢の香
開封してまず印象的なのは、綺麗に立ちのぼるフレッシュな酵母の風味とかすかな吟醸香。
これをワイングラスに注いで口に含むと、とても優しい香りと瑞々しい口当たり。触れるたびに自然発酵由来の優しい微炭酸がほのかに弾けて心が躍る。
新鮮なもぎたて果実のような芳香がありながらも粗がなく、とてもなめらかできめ細やか。まるで透き通るように輝く炊き立ての新米の旨味が、ほろほろと口の中でほぐれるかのような上品な旨味。最初は控えめなそれが蕾から花開くように口いっぱいに広がったあとには、穏やかな余韻が静かに流れていく。
それはたとえるならば、線香花火の可憐な、小さな煌めきを楽しむかのよう。まさに「美酒」と呼ぶに相応しい、繊細で美しく、気品ある佇まいです。「陽と陰」、「若々しさと円熟さ」という矛盾が高い次元で美しく調和した、グラデーションある味わいは、飲み飽きもさせません。これは素晴らしいお酒ですね。
最近は、以前より福島の酒が県外でも広く知られるようになってきた中で、従来から強いブランド力を持っていた会津地方・二本松市に続くブランドとして、白河市や天栄村、矢吹町、矢祭町、古殿町などを中心とした「県南」ブランドがその人気と知名度を急激に上げていると言われていますが、有賀醸造さんの「陣屋」も、その重要な一角のひとつ。さすが、圧巻の実力です。
・和マッコリ 霧の華
今回はなんと、もう一本。有賀醸造さんが醸した「和マッコリ」までついてきちゃいました。
マッコリ(막걸리)とは日本のどぶろくに似た、朝鮮半島で飲まれている伝統酒。有賀醸造さんは別にもう一つ、高麗時代から続くといわれる製法を守ったマッコリそのものも自社で製品化しているのですが、こちらはアレンジを加えた「和マッコリ」。
私は学生時代に韓国語を勉強した縁もあって、韓国の留学生とはずいぶんお酒の席をご一緒しました。久しぶりに飲むマッコリは、実は結構楽しみです。
こちらは開封するとガスがポン、と抜ける新鮮そのものの生酒。韓国マッコリとの違いを楽しみにして飲んでみると…口当たりは柔らかいのに、味わいが非常にシャープでモッサリ感がありません。いわゆる「辛口」といえるお酒です。
しかし、このミルキーな口当たりと自然酵母由来の炭酸、一般的な日本酒より低いアルコール度数などがあいまって、食中酒としても実に秀逸。日本酒とマッコリの良いとこ取りをしたような印象ですね。もちろん、焼肉やキムチなどの料理との相性も抜群でしょう。
このキレの良さは「油もの」をよりスッキリと楽しませてくれますから、肉料理とのペアリングには人によってはむしろ、際立った芳醇な味と甘さが特徴的な一般的なマッコリ以上に好まれるかも知れません。有賀醸造さん、さすがです。
これらのお酒を、おつまみと合わせていきましょう。
今月のマリアージュ/ペアリングセットは
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- 生ハムステーキ<西白河郡泉崎村/豚肉専門店ノーベル>
- 愛椎しいたけ<郡山市/農事組合法人愛椎ファミリー>
- 大野農園さんの梨<石川郡石川町/大野農園株式会社>
- 国産きゃらぶき<郡山市/きのこ総合センター>
- さきいかキムチ<白河市/こまや合同会社>
・生ハムステーキ
今月のメインとなるのはfukunomoではおなじみの、しかし県内でも入手先が限られる美味しい豚肉、泉崎村ノーベルさんの「夢味ポーク」を使った厚切り生ハム。
大切りの肉を開封してみると、燻したような心地よい香りが広がります。
これをフライパンで炙ることで香りは一層強くなり、香ばしさと肉の旨味が染みだしてきます。
陣屋の「夢の香」と合わせてみると、特にその香り。
和マッコリ「霧の華」と合わせると、肉の旨味。
それぞれがそれぞれの酒と共鳴し、強く惹きあって、実に美味しい。おつまみに実に嬉しい一品ですね。
・愛椎しいたけ
・大野農園さんの梨
さらに今回は、たまたま冷蔵庫に同じ泉崎村のノーベルさんの豚生肉がちょっと残っていたので、fukunomoに入ってきた愛推しいたけと大野農園さんを合わせて、豚肉の梨炒めを作っちゃいました。(もちろん、普通の豚肉でも作れます)
梨は韓国料理でもお肉を柔らかくするのに良く使われていますので、今回は半分をすりおろし、もう半分を適当な大きさに切って、同じく切った椎茸と一緒にしばらく生豚肉に漬け込んでから炒めます。イメージはこれに似た感じですね。
https://www.nhk.or.jp/saga/program/hirumae/kitchen/170907.html
(NHK みかこキッチン「豚肉の梨炒め」)
ただ、今回はせっかくマッコリがあるので韓国料理をより強くイメージして、味付けはコチュジャン(唐辛子味噌)を利用。
今回に限らずですが、fukunomoで送られてきた食材を冷蔵庫に残っているものと組み合わせてアレンジ料理にしてみるのも、実は結構楽しかったりします。
出来上がった料理をお酒に合わせてみると、ただでさえ肉料理との相性が良い椎茸がその本領を発揮。特に郡山市の中でも猪苗代湖の南にある湖南町の「愛椎しいたけ」は菌床の培地や地下水、温度管理に徹底的にこだわっているだけあって肉厚で芳醇です。
また、季節の果樹加工品が福島のお土産として大人気の大野農園さんの梨も、全国的に非常に厳しかった今年の天候状況にも関わらず、とてもクオリティの高い味わいです。お肉がとっても柔らかくジューシーに、かつ、料理に果実由来の「甘味」も加わって、とても味わい深くしてくれます。
日本酒の吟醸香の一部はしばしば「梨の香り」にたとえられることもあるくらいですから、お酒との相性もバッチリ。
「甘味」「辛味」「香味」「旨味」などが絡み合って、とても美味しい。今回のセットは、韓国風料理やアレンジとの相性がかなり良いですね。
・国産きゃらぶき
次に、郡山市きのこ総合センターさんの国産きゃらぶきで、食卓にアクセントを。ほのかな「苦味」を加えていきます。
しかし、このきゃらぶきがなかなか、どうして。
もちろん心地よい苦味もあるのですが、口に入れると、予想以上にかなり豊潤な甘じょっぱい旨味が広がります。これは野菜が苦手な小さな子どもさんでも食べやすい味わいで、お酒もご飯もすすみますね。
・さきいかキムチ
最後の一品は、白河市こまや合同会社さんの「さきいかキムチ」。
昔、韓国の大学生たちと一緒にお酒を飲んだときには、韓国焼酎やマッコリにさきいかやスルメイカにコチュジャン(韓国唐辛子味噌)をつけたものをいつもお供にしていたことを思い出します。
ちょっとウキウキしながら食べてみると、これがまたしっかりした味付けで、辛さが心地よい。しかも、風味はかなり本場志向です。私にとってはちょっと懐かしさを感じる味わい。ビールや焼酎にも合いますし、今回はぜひ、「和マッコリ」を合わせて頂きたいところです。
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今回のお酒は双方ともに酵母の息吹を感じさせるような魅力がありました。まさに「発酵の魅力」を堪能した感じ。また、おつまみも韓国風アレンジにしたことで、その魅力がより引き出せたのではないかと思います。
日々の食卓に彩りとわくわく感を添えてくれるfukunomo。今回も、「やってて良かった!」と強く感じさせてくれるセットでした。ごちそうさまでした! (*´▽`*)
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