今月のお酒は「純米吟醸 春酒 しぼりたて生」
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@sake_kaeru)が、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
2021年3月号は、ウイスキーから焼酎までさまざまな酒を手掛ける郡山市の笹の川酒造さんからお届けする「純米吟醸 春酒 しぼりたて生」です。
【連載第31回目】
3月になって寒さもうっすらと和らぎ、春の訪れを感じさせるようになりましたね。
福島でも、場所によっては他の地方に続き梅の花がほころびはじめました。(とはいえ、とても広い福島県。山間部はまだまだですけれども)
今月のfukunomoからいち早く届いたお酒は、郡山の笹の川酒造さんから「純米吟醸 春酒 しぼりたて生」。春の訪れを感じさせてくれる銘酒です。
笹の川酒造さんの創業は、1765年(明和2年)。古くから酒造りをしてきており、日本酒の他にも地ウイスキー「963」(郡山の郵便番号の上三桁が963であることから)、「山桜」「チェリーウイスキー」シリーズの蒸留所としても県内外で有名です。
私もこれまで、笹の川酒造さんのお酒は日本酒とウイスキーの両方を沢山楽しませて頂いてきましたが(自宅にあるとっておきのマイウイスキーは、笹の川酒造さんのブレンデッド原酒21年。加水無しのストレートで楽しむと、極めて芳醇かつ繊細で口当たりの良い、ジャパニーズウイスキーの真髄を感じさせる最上級の銘酒です)笹の川酒造さんの日本酒には爽やかな飲み口の中でも非常に力強い、芯がハッキリした重層的かつ伝統的な味わいのお酒が特に印象に残っています。
こうした酒の特徴は福島県外はもちろんのこと、会津の酒や二本松の酒ともまた異なり、白河や県南の酒と比べると同じ県内の酒とは思えないような個性でもあり。まさに「郡山の酒」、郡山ブランドを代表する酒蔵の1つと言えるでしょう。まさに地酒の醍醐味。県外にいながらこういう味わいが楽しめるfukunomoは、やっぱり魅力的です♪
さらに、そうした伝統的な魅力と共に、多様な味のバリエーションも同時に手掛けているのが笹の川酒造さんの魅力。最近では特に面白いものが、「福島一辛口」という文字通り福島の酒でもっとも「辛口」(日本酒には辛味成分が入っているわけではないので厳密な意味での辛口ではないのですが、慣用的に使われている意味として)を目指した一本。アルコール度数は19度と少し高めで日本酒度は+22.7の「大辛口」で、「ロック推奨・燗付け厳禁」として、福島の酒の新しい1つの境地を独自に創り出しています。こちらは、特に夏の夕暮れ時にひぐらしの声を聴きながら楽しむのにピッタリな1本でした。
今回の「純米吟醸 春酒 しぼりたて生」もきっと、笹の川酒造さんの伝統の技術が生み出す新しい酒でしょう。さっそく楽しんでいきましょう。
・純米吟醸 春酒 しぼりたて生
開栓すると、生酒らしいフレッシュさがあるものの、とても柔らかで芳醇な風味。口にした瞬間から感じさせる陽だまりのような温かさ。これは郡山の酒、笹の川の酒の伝統に根差した生命力を感じさせる芯の強さが「生酒」特有の躍動感と合わさって、とても良い方向に生かされていますね。あまりの心地良さに、思わず、ほぅ。。。。と、うっとりした感嘆のため息が出てくるようなお酒です。
それはまさに、訪れたばかりの春の気配と植物たちの萌芽。少し寒さが残る中に感じさせる雪融けの予感。梅の花を思わせる優美な香りに続き、フィニッシュにはネロリ(※ダイダイ(ビターオレンジ)の花から水蒸気蒸留によって得られる精油)やマーマレードにも似た残り香。白詰草の蜜にも似た穏やかで素朴な甘さ。芽吹いたばかりの若草にそよぐ透明感のある風。舞う花びら。
ああ、なんてことでしょう。これはまさに「春酒」。花見酒にこんな1本があったら、もはや「風流」すら強く感じさせる味です。すごい設計。「郡山の酒」ならではの持ち味と魅力が、こんな風に生かされるとは…!
これは、いわゆる「辛口」の魅力も知りつつ、ウイスキーも手掛け「甘く芳醇な香り」の魅力も熟知している笹の川酒造さんならではの芸当と言えるかも知れません。
日本酒は「辛口」が好きだという方や、ウイスキー好きな人にこそ、この酒をぜひ飲んで頂きたいですね。おそらく、この個性と魅力に相当ハマるはず。
すでに想像した以上に感動させられてしまった1本ですが、今月もこのままペアリングに進んでいきましょう。
今月のマリアージュ/ペアリングセットは
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- 会津地鶏生ハム<福島県会津若松市/会津地鶏ネット>
- 塩トマト甘納豆<福島県福島市/岡昇>
- 黒胡麻ごぼう<福島県伊達市/山吉青果食品>
- 国産きのこみそ汁<福島県本宮市/糀和田屋>
- 檸檬<福島県郡山市/柏屋>
・会津地鶏生ハムと塩トマト甘納豆
今回のメインは福島が誇る、稀少価値が高いブランド鶏である会津地鶏を生ハムにしたもの。
会津地鶏とは、昔から細々と飼われ絶滅寸前になっていた会津の固有種(昭和62年に固有種と判明)である、非常に美しい羽根が特徴的な純系会津地鶏をかけあわせて商用にしたもので、コクの強さと口当たりの良さがあいまった美味しい品種です。
この鶏肉を生ハムにしてみると、非常に透明感あるやわらかい食感の中にも凝縮された旨味と薫りを感じさせる絶品生ハムに!
そしてもう一つは、「塩トマト甘納豆」。「塩」「トマト」「甘納豆」とやたら情報量が多いネーミングですが、まさにそれらの良さを集めたおつまみです。
香味野菜の1つとも言えるトマトを塩気と共に乾燥加工させたことで、いわばビーフジャーキーや鮭とばに近いほどにお酒のおつまみとしての相性が良くなっています。濃縮されたトマトの香味と酸味、そして甘納豆仕立てのねっとりとした甘みと旨味の調和が、今回のお酒と絶妙のペアリングを演出してくれるのです。
しかし、何と言っても今回の本領はこれらの2つを同時に味わうことでさらに発揮されるといえるでしょう! これらを同時に味わうと、いわば「トマトの生ハム巻き」状態なんです。甘納豆仕立ての塩トマトに生ハムのジューシーさが加わり、そこに「春酒」のせせらぎのような柔らかな口当たり、ほころんだ梅花、ネロリやマーマレードのような甘い香りが重なっていく。
これぞペアリングの醍醐味。おつまみそれぞれ1品ずつとの掛け合わせだけでなく、こうした複合的なペアリングによっても素晴らしい魅力が生まれます。
・やまきちの温体野菜 黒胡麻ごぼう
黒胡麻の香ばしさと塩味、ごぼうのシャキシャキした歯ごたえの良さが、こちらは生ハム・塩トマトという洋風ペアリングとは別の、和の王道テイストによるペアリングとしての存在感を示します。香味同士が合わさっても喧嘩せず、むしろ旨味をよりジューシーに変えてごぼうを味わい深く仕立ててくれるのです。
今回の「純米吟醸 春酒 しぼりたて生」は、和洋双方に素晴らしいペアリングのポテンシャルを発揮してくれる懐の広い、優しいお酒。これは美味しいですね。
・国産きのこみそ汁
お湯で戻すだけで簡単に味噌汁が出来上がり。大きめキノコ具材がたっぷりの味噌汁です。
ここに今回、冷蔵庫にたまたまあった、味をつけていない細切りめかぶも同時に投入。なめこのトロトロと合わさって更に粘りが強くなった味噌汁を啜ると、立ちのぼる味噌の良い香りと共に、身体をいたわるような優しさが身体にとても沁みてきます。
しかし最近のフリーズドライはすごいですね。こんなに手軽に美味しい味噌汁が味わえると、晩酌の楽しみ方が広がります。
・檸檬
そして最後の甘味は、福島銘菓の「檸檬(れも)」。
「薄皮饅頭」で有名な、郡山の柏屋さんが誇るもう一つの看板商品です。
しっとりとした口当たりと甘味、そしてレモンの風味は食事の〆としての満足感はもとより、お酒とのペアリングでも絶妙な一味を加えてくれます。これは飲み終わった後に食べても良いですが、ぜひ飲みながらも食べるのもおすすめの一品。僅かにネロリやマーマレードのような香りを持った今回の春酒との相性は抜群です。
福島県民にとっておなじみの郡山が誇る美味しさが、同じ郡山で造られる笹の川酒造さんの酒と協演し、秘められていた魅力がさらに引き出されていくイメージ。いわば、梅の花に続いてレモンの花までもが同時に咲いたかのような感覚ですね。まさに春爛漫。
さて、今回のfukunomoは季節にぴったりの「純米吟醸 春酒 しぼりたて生」を楽しませて頂きました。さっきも書いたように、このお酒を手にお花見なんてやれたら幸せだなぁ…なんて思いつつ。これはもう、花見の時期に備えておかわりを買って用意しておこうと思います。(美味しすぎたのですでに1本空けてしまった)
今月も、fukunomoは至福です。ご馳走様でした! (*´▽`*)
<fukunomoお申し込みのご案内>
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