今月のお酒は「弥右衛門 純米辛口 ひやおろし」
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
2021年11月号は、喜多方市の大和川酒造店さんからお届けする「弥右衛門 純米辛口 ひやおろし」です。
【連載第39回目】
つい先日までの暑さが嘘のように、めっきり冷え込んできましたね!
福島では朝晩の吐息が白く染まり、最近は雪虫が飛ぶのも見かけました。間もなく冬の訪れです。
今月のfukunomoは、会津地方は喜多方市から「弥右衛門 純米辛口 ひやおろし」。私も初めて頂くお酒ですが、「辛口」かつ「ひやおろし」という、個人的には大変好物の予感しかしない響きであります!早速楽しんでまいりましょう。
■今月の美酒
・弥右衛門 純米辛口 ひやおろし<福島県喜多方市|大和川酒造店>
一口目から印象的なのは、生詰らしさを感じる生きた酵母の香りと自然の甘味。味わいは紛れも無く上等な日本酒らしい日本酒さのそれを持ちながらも、この個性によって香り高い白ワインのような楽しみ方も出来る。いわば和洋折衷とも言える一本と言えるでしょう。
実は昔から、大和川酒造の酒は全般的に酵母の香りの活かし方が特に上手い。これは明治時代から県内で人気の、「秘伝カスモチ原酒」の技が生きているのかもしれません。
大和川酒造と言えば「秘伝カスモチ原酒」とさえ言える伝統の味わいは、他に類を見ない稀有で特徴的な風味。飲んだことが無い人、特に今回のお酒が気に入った方なら一度体験して頂きたいところ。
しかし、この酒の魅力は酵母が醸す佳き香りだけではありません。これほどまでにフレッシュでありながら、同時に熟成させた「ひやおろし」ならではの深さとまろやかさもある。気持ちをアゲてくれる強い躍動感が楽しめつつ、「粗さ」は感じさせない。これは「生詰酒」という酒の魅力の一つの完成形と言えるかも。流石の技、流石の味わいと言えるでしょう。
しかも「辛口」を名乗るだけあってキレが心地良く、後味にベタベタした感じが無い。飲み飽きない酒の条件も満たしていて、いかなるツマミとも合わせやすい万能酒でもあります。
これはペアリングが捗る予感しかしません。 そんな中でも、とりわけ、この酒の特徴である酵母の香りと爽快感は、ブルーチーズやミモレットなどのナチュラルチーズ、もしくは醤油、味噌、及びそれらを用いたつけものなどの発酵食品系をベースとしたおつまみとの相性が特に良いと思われます。爽やかでありながら芯はしっかりしているので、かなり強めのクセがある食材にもしっかり合わせて素晴らしいペアリングを魅せてくれそう。
今月のマリアージュ/ペアリングセットは
- 蔵醍醐クリームチーズのみそ漬<福島県南相馬市/みそ漬処 香の蔵>
- さんまのポーポー焼き<福島県いわき市/上野台豊商店>
- 山うど油炒め<福島県大沼郡会津坂下町/カネマスクリキ食品>
- 相馬ひと口きゅうり漬け<福島県南相馬市/菅野漬物食品>
- 野菜が好きになるスープ トマト<福島県福島市/内池醸造>
・蔵醍醐クリームチーズのみそ漬
・野菜が好きになるスープ トマト<福島県福島市/内池醸造>
お酒を一口飲んで、チーズや味噌などの発酵食品系との相性が良さそうだと感じた次の瞬間、出てきたペアリング食材が「クリームチーズのみそ漬」。さすが、fukunomoさん。わかってらっしゃる。まさかの、「こういうのが合う」と思った食材同士がドンピシャで合わさった一品が出てきました。しかも、お酒が持つ「和洋折衷」のような個性にも寄せてあります。
実際に合わせてみると、これがまた予感した通り、実に旨い! 酵母の香りがチーズ、味噌それぞれの風味と上手に絡み合って、旨味も食材と酒の双方からギュギュっ!と搾り出したかのように滲み出てきます。しかもこれほど濃縮された旨味であっても、お酒が持つ円熟感によって、強い味や深いコクにも負けません。素晴らしいハーモニーを奏でてくれます。
そして、最後の後味のキレの良さもまた大きなポイント。飲み、食べ飽きさせずベストな心地よさを延々と感じ続けさせてくれるのです。
まさに「自然の底力」とでもいうべき滋味で、発酵食品の醍醐味を余すところなく堪能!という感じ。そういえば「醍醐味」の語源であり、すでに製法が不明になっている古代の「醍醐」という食べ物も実は乳製品で、濃厚なバターオイルのような味だったとの説もあるのだとか? もし現代にも醍醐があったとしたら、多分、このお酒のアテに丁度良いかも知れません。
そして、このクリームチーズと同時に合わせて頂きたいのが、「野菜が好きになるスープ トマト」。「野菜が好きになるスープ」と銘打ってあるこちらのシリーズは、野菜の旨味が濃厚につまった人気商品で、おうちにいながらレストランのような味わいが楽しめます!
少し温めたスープのトマトをスプーンで崩しながら口に運ぶと、トマトスープの芳醇でジューシーな旨味と甘味、酸味が絡み合い、クリームチーズと味噌で実現したペアリングを包み込みます。
そもそも、トマトとチーズのペアリングからしてワインと合わせるときの王道とも言える組み合わせ。しかも、口の中がスープで温められることでお酒やつまみの香りが更に立ち、味わいもより深く多層にしてくれるのです。
・さんまのポーポー焼き
続いては、このお酒の和食との相性の良さを堪能していきましょう。「さんまのポーポー焼き」は、いわき地方に伝わる郷土料理。秋刀魚に生姜などの薬味を練り込んでハンバーグのように仕上げたものです。こんがり香ばしく焼き上げるのがポイント。
このお酒を秋刀魚の風味と合わせると、今度は酵母の風味がまるで炊き立てご飯のような香りと旨味に早変わりして、一気に口の中に広がりますね!まさにペアリングで「化ける」感じ。
秋刀魚と炊き立てご飯の組み合わせが、合わないはずがありません。これは美味しいという以上に、旨い。しみじみと味わえる。ぽーぽー焼きに使われている生姜の風味が、アクセントとしても丁度良い。どんどんお酒が飲めてしまいますね。
・山うど油炒め
ここで、「山うど油炒め」を投入。
会津美里町、カネマスクリキ食品の「山うど油炒め」は自然の風味を活かした素朴な仕上がりで、油炒めのまろやかな甘さとツルンとした口当たり、穏やかな苦味が特徴的。
実は個人的に山うどって昔はあまり得意では無かったんですが、fukunomoさんで出される美味しいものを、ちゃんと合う酒とペアリングすることで、すっかり好物になってしまいました。
ペアリング、やっぱり大事ですね。やり方次第で食材とお酒、双方の潜在していた魅力のリミッターを、軽々と突き破ってくれます。
改めて味わうと、この山うどのような「苦味」を効果的に使うことが良いアクセントになって、ペアリング全体のまとまりがグッと引き締まりますね。これがまた、酵母感のある酒の香りと甘さと絶妙にマッチ。シャキシャキ食感と喉越しの良さも含めて箸休めにもピッタリです。
・相馬ひと口きゅうり漬け
最後は、相馬地方から「相馬ひと口きゅうり漬け」。地域で長年愛され続けてきたソウルフード的な人気の漬物です。
人気の秘訣でもある、一口目から口いっぱいに広がる独特の旨味と甘塩っぽさ。これは独自の漬けダレでの乳酸発酵によるものなのだとか。味だけでなく、コリコリした小気味良い口当たりもクセになって、どんどん食べられてしまいます。
私は相双地方にも地縁が深いので、子どもの頃から結構気軽に食べていた身近な漬物です。しかし改めてペアリングとして合わせてみると、この漬けダレの発酵風味が今回のお酒の風味とかなり共鳴しあってくれて、なかなか気の利いた組み合わせ。これまた、「発酵の醍醐味」「ペアリングの醍醐味」双方を存分に味わえるものでした。いや、本当に美味しいね。結構量が入っていたのに、漬物おかわりほしいかも。
今回は、和洋様々な食材とのペアリングで秋ならではの「冷やおろし」が持つ魅力と変化を存分に引き出してくれる、「珠玉の発酵」を詰め合わせたようなセットでした。どれも気持ちをしみじみとアゲてくれる美味しさと楽しさがあって、fukunomoが月に一度届く幸せを改めて噛みしめさせて頂きました。
今月も、ご馳走様でした!
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