今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第53回目】
野趣と洗練。繊細さと力強さ。
相反する魅力を、これほど高度に両立させた酒が他にあろうか──。
大七の酒を呑むと、いつもそうした心持ちになる。
極めてクリアで上品な口当たり。柔らかに沁みる風味。そして、雄々しく滾(たぎ)る芯の強さ。一つ一つに、貫禄さえ感じる「上質」がある。
旨い。しみじみと、旨い。
何より、この酒はあまりにも真っ直ぐなんだ。
決して奇を衒(てら)わない。一切のごまかしが無い。世に流されない。
日本酒の在るべき王道を、可能性を、ただひたすら実直に求めて止まない。
大七の「美学」。そこから醸し出される美酒。
グイと呑む度、その圧倒的な迫力がヒシヒシと伝わってくる。
芸術的とさえ言えるそれを口に出来る僥倖に、「大七があって、良かった」と心底思える。
間違いなく、福島が誇る、珠玉の至宝の一つと言えるだろう。
■今月の美酒
・雪しぼり 本醸造生原酒 <福島県二本松市/大七酒造>
「酒は大七、旨さは第一」。
古くからの福島県民にはあまりにも馴染みのある、大七酒造のキャッチフレーズです。
大七酒造は文化の薫り高き城下町、奥州二本松の地で長く福島県民に愛されてきた県内大手の酒蔵です。二本松は古くから酒どころとして知られ、約5.2万人 の人口の市内には今も大七、奥の松、千功成、人気一の4つの造り酒屋がひしめいています。
福島県内の酒蔵としては珍しく、かなり昔から数々の雑誌やメディアに取り上げられて注目されてもきました。流行の冷やで飲むスタイルで高評価なのはもちろん、「大七の燗酒は、日本一旨い」などと呼ばれたことも。さらに海外への輸出もいち早く手掛けていたことから、国内外に非常に根強いファンが多いのも特徴的と言えるでしょう。
商品のラインナップも多彩で、たとえば「大七純米生もとCLASSIC」は、濃厚で複雑な味わいを強く感じさせる魅力の一本。大七の求める最高レベルに達した年にしか名づけることが許されない「妙花闌曲(みょうからんぎょく)」シリーズは、世界でもベスト・オブ・ザ・ベストとして知られている高嶺の花。どれをとっても、非常に魅力的なお酒ばかりです。
中でも今回の「雪しぼり 本醸造生原酒」は、特に淡雪のような透明感、上品な口当たりの良さが特徴的。スッキリしていながら、輪郭ある非常に深い奥行と極めて長い余韻を楽しませてくれる1本。食中酒として、実に万能感がありますね。
大七の、それら全ての品質を裏付けているのが、1752年(宝暦二年)の創業以来、日本酒の最も伝統的な醸造法「生酛(きもと)造り」一筋に豊潤な美酒を醸し続けている点。自然が持つ力強さを最大限に引き出す製法でありま すが、あまりにも多くの手間と労力を必要とします。ところが大七酒造は、全ての商品が生酛造りですから驚きの一言です。
それでは今月も、早速ペアリングを合わせていきましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット
・赤魚粕漬け
<福島県いわき市/大川魚店>
・パリパリザーサイ
<福島県伊達市/ヴィルタス>
・やまと豚レバー燻製
<福島県田村市/ハム工房都路>
・長久保のしそ巻き
<福島県いわき市/長久保食品>
・玉嶋屋の玉羊羹
<福島県二本松市/玉嶋屋>
・赤魚粕漬け <福島県いわき市/大川魚店>
今回のメインディッシュは、いわき市の大川魚店から大七酒造の酒粕を用いた赤魚の粕漬け です。大川魚店は、港町いわきを代表する魚店の一つ。高級料亭などでも高い評価を受けてきた「常磐もの」を扱ってきただけに、舌が肥えた地元での贈答品にも喜ばれるほど品質の高い商品が自慢です。
今回の赤魚を焼き上げてみても、やはり驚くほどふっくらで、実に香り高い。それもそのはず。特に「日本一旨い燗酒」とさえ言われた大七酒造の酒粕に火を通せば、それはもう、絶品としか言いようがないでしょう!
ほろりとほぐれた、脂が乗った身。口にするとまさに、理想的な赤魚の味わいそのもの。これはお酒もご飯も進みます!
そこに、今回の「雪しぼり」。このペアリングは、魚の旨味があまりにも強く酒に溶け込んできますね。これはもはや、旨味のエキス! 上品な香味とも相まった強い余韻が、実に長く響き続ける。これはたまらない。やはり大七の力強い味わいには、強い味わいの肴が特に似合う。それぞれの魅力が掛け算になり、より際立つようになります。
・パリパリザーサイ <福島県伊達市/ヴィルタス>
続いて、パリパリザーサイに手を伸ばしてみます。その名の通り、歯ごたえがパリパリと心地良い。更に特筆すべきは、調味油の上手な使い方。強めの胡麻油とラー油、そしてオリーブオイルを感じさせるブレンドは、滑らかな口当たりと香味、旨味をバランス良く醸し出しながら、一口目から後味までの風味を上手に組み立てています。
感覚的には、野菜たっぷりのワンタンか餃子を食べているような食味にもなりますね。
「雪しぼり」の味わいは、これらの強い風味に負けるどころか絶妙な調和。その口当たりの爽やかさと芯の強さによって旨味は倍増、しかもスッキリと良いとこ取りになります。美味しいですね!
・やまと豚レバー燻製 <福島県田村市/ハム工房都路>
次にチャレンジするのは、お馴染みのハム工房都路から「やまと豚レバー燻製」。ドイツ農業協会(DLG)の競技会で金賞を収めるほどの実力派で、非常に高い技術で手掛けた加工肉は海外でも評判です!この上質なレバー燻製とのペアリングはfukunomoの女王こと松岡さん曰く、「新しい地平が見えるマリアージュ」とのこと。レバー好きにはたまらない逸品に違いありません!
…ただ、ここで一つだけ白状しちゃいましょう。
実はわたくし、全般的にレバーがあまり得意ではないのです。食べられないわけではないのですが、ちょっとだけ苦手。しかしながら、「新しい地平が見えるマリアージュ」を堪能しない手はありません。早速、「雪しぼり」と合わせて食べてみます。
なるほど。レバーの味と風味が極めてダイナミックに増幅されて、爆発的に広がる。確かに「新しい地平が見える」と呼ぶに相応しいダイナミックな反応。これは凄い。そして美味しい。レバーがあまり得意ではないものの、美味しい。これは、チコリー(野菜)とかクラッカーに乗せてカナッペのようにしても良いかも知れない。
一方、レバーが本格的に苦手な人にとってはそれでも少々キツいかもしれないので、ここは先ほどのザーサイと同時に合わせてみるのも良いかも。
レバー特有の食感と苦味がザーサイの中華風味と合わさり、中華風レバー炒めみたいに甘く滑らかになります。私としては、この組み合わせが特に食べやすかったです。
・長久保のしそ巻き <福島県いわき市/長久保食品>
次に合わせるのは、いわき市好間町の長久保食品から「長久保のしそ巻き」。いわき土産の定番とも言える逸品です。
実は私、小学生時代にいわき市好間町に暮らしていた時期があり、歩いて行けるレベルにご近所さんでもありました。
子ども時代からおかずとして身近に親しんでいましたが、これがまたお酒のアテにも絶品。大学生時代には(私が熱心に勧めて)県外の友人たちにも体験してもらいましたが、かなりの人達がベタ褒めしてハマっていたりして。醤油と紫蘇が絡み合った特有の風味とハリハリの歯応えは、やはり味の輪郭がシッカリしている「雪しぼり」とは特に好相性と言えます。
ただ、このお漬物。福島県外ではなかなか手に入らないので、fukunomo様様ですね。
・玉嶋屋の玉羊羹 <福島県二本松市/玉嶋屋>
〆はこちら、玉嶋屋の玉羊羹。
製造元の玉嶋屋は大七酒造からもほど近い同じ二本松市内に古くからあります。手がける羊羹は古くから非常に評判で、江戸時代には東北各地の大名に所望され、徳川将軍家にまで献上されていたという由緒正しい代物です。今もなお、当時と同じように楢(ナラ)の木を使った薪を燃料にして煉り、伝承の手作業職人技もそのままに作られ続けています。
大名や将軍家が所望した羊羹が手元に届くというだけで、何だか特別感がありませんか??
この「玉羊羹」は、そんな玉嶋屋の羊羹をいつでも気軽に、衛生的に楽しめるという一品。爪楊枝などで突き刺すとぷちん、と割れて綺麗な玉のような羊羹が現れます。
口にすると、シットリと滑らか。上品かつ芳醇な甘味が口いっぱいに広がります。
この強い甘味もまた、「雪しぼり」の芳醇な味わいと非常に相性が良い。甘味を選ぶにしても、ベストマッチとさえ言える組み合わせですね!
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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