今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第56回目】
[Variety is the spice of life. That gives it all its flavour. (変化は人生に彩りを与えるスパイスである)] ──。
有賀醸造の酒には、イギリスの詩人William Cowper(1731年~1800年)の言葉を送りたい。
この蔵の酒は、いつも期待と想像を超えてくる。日常に変化と彩り、何より喜びを与えてくれる。今回もそうだ。
口当たりは極めて穏やかでクリア。しかし味わいは極めて芳醇で、完熟した洋梨やメロン、白桃、イチジク、それらを凝縮した雫を思わせる。
果汁感溢れる旨味と強い香り、糀の風味と淡い甘味が強めの酸味と混じりながら広がる。多彩な「美」それぞれが絶妙な調合で重なり生まれる、カクテルのような多様性。不思議なハーモニー。
一口目には一颯(いぶき)薫る高揚を。二口目は天満月(あまみつつき)の充足を。三口目には、匂う花にも似た陶酔を。それらの間隙を、ただ無心に「旨い」と唸らせる余韻が満たす。
実に独創的かつ幻想的な美酒は、有賀醸造の本懐と言える緻密な計算と設計、極めて丁寧な造りに裏付けられた無二の魅力を持つ。
まさに「花鳥風月」。盃を延々呷(あお)りたくなる、粋の極みである。
■今月の美酒
・陣屋 特別純米酒 氷温貯蔵原酒 <福島県白河市/有賀醸造合資会社>
フレッシュさと豊かな味わいのバランスが嬉しい一本。
軽いガス感が心地よく、洗練された味わいです。
爽やかな風味が香りのよいお料理と好相性です。
「一生の粋な酔いを」をモットーに、世界に誇れる日本酒の醸造を行っている、白河市の有賀醸造。若き杜氏は東日本大震災を機に実家へと戻り、杜氏に就任した元東北大学大学院の理系研究者でもあります。
データの裏付けによる緻密な設計と蔵の伝統とを融合させ醸した新世代の日本酒は、デビュー以来県内外で非常に高く評価されており人気急騰中。杜氏が薬剤師の兄と協力して醸した、マニア垂涎の限定酒「理系兄弟」もこちらの酒蔵です。
では、今月も早速楽しんでいきましょう!
勝手にペアリングを考えてみた
最初は、恒例となった勝手にペアリングコーナーから。
前情報無しで、このお酒を楽しんだ上でのペアリングを考えていきます。
花鳥風月のような多様性の饗宴。少し独特で、不思議な調合の香り。
その個性を活かす方向で真っ先に思い付いたのが、キノコとの相性の良さかな。特にシイタケ、マイタケ固有のふわっとした香りとこの酒の香りを合わせたら絶対美味しいと思う。出来る限り肉厚で、出来れば香りが際立つ原木栽培のものが良いなあ。他、エリンギも使い方次第では良いかも。高級ラインだと、松茸とかシシタケ(香茸)と合わせても絶品に違いない。松茸土瓶蒸しと合わせたりなんてしたら凄いことになるかも?
味噌の風味も非常に良い。たぶん、このお酒に残る糀の風味がシンクロするんだね。その上で、味噌の甘味が酒の酸味と合わさる感覚も佳き。まさにペアリングの魅惑。
味噌の種類は好みにもよるけど、赤味噌、白みそ、合わせ味噌、なんなら八丁味噌、どれもそれぞれに合わせてそれぞれに個性が出て美味しいと思う。味噌食べ比べセットに合わせても良さげ。
…というわけで、先月の榮川に付いてきた会津天宝の油揚げの味噌焼き(好きなのでプライベートでもたまに買ってる)を合わせたら、「陣屋 特別純米酒 氷温貯蔵原酒」にもこれでいいよ!というかむしろ、これがいい!となった。美味しい。幸せ。しかし、さすがに二ヵ月連続で同じモノを出すわけにもいかないよね。
また、「陣屋 特別純米酒 氷温貯蔵原酒」の強めの酸味と香りには柚子も良い感じと思われるので、柚子味噌風味などはかなり良いんじゃないかな。
肉を使う場合、豚肉や牛肉などコクの強い赤身肉がよりベターかな。もし鶏などの白身肉にする場合は、伊達鶏や川俣シャモ、会津地鶏などコクと旨味が強い品種を合わせたら相当美味しいと思う。書いてるだけでめちゃくちゃ食べたくなってくるね、コレは。
魚も合うけど、この酒の個性は肉に合わせた方がより面白い気はする。
その上でも敢えて魚を合わせるなら、香りは立てど生臭くはなりすぎないものが良いとは思える。なにせこのお酒、香味同士を対等に響き合わせるので、生臭さも引き立ててしまいそうな予感がする。そうなると、やっぱり無難に白身かなあ。
試しにスーパーで買ってきためひかりの唐揚げとも合わせてみたら、頭の部分は少し臭みがあるからあまり相性良くない。でも身の部分は最高。めひかり開き干しみたいな、脂のってて臭みが無い白身なら◎だと思う。
あと魚の場合、さっき言ったような味噌を合わせると良いかな。焼きとか味噌煮にしても相当イケると思う。やはり生臭さを抑える工夫がポイント。いっそオリーブオイルとかオイル系を合わせても良いんじゃないかな。
…というわけで、洋風とかスパイスとかも少し試してみたけど、黒胡椒が特に良い感じ。強い酸味と独特な香りを際立たせる印象で面白いね。そういえば最近は、個性が強いウィスキー(タリスカー)でハイボールを作り、そこに少しだけ黒胡椒をかけるという「スパイシーハイボール」がアウトドアなどで人気なのだとか。(試したけど、かなり美味しかった)個性ある日本酒に黒胡椒というのは、それにも通じるんじゃないかと。新しい魅力の発掘になるかもしれない。
なおガーリック風味、バジル風味、先述したようにオリーブオイルなどとの相性も良し。冒頭の言葉はそんなつもりじゃなかったけど、スパイスがこのお酒のペアリングキーワードなるとは。
あと、これまで考えたおつまみが全体的にコクや香り強めだから、箸休めも1品くらいはほしいかも。あまり塩気の無いような、アッサリしたもので香りが楽しめるものだといいな。
糀風味のつながりで、野菜の三五八漬けとかも面白そう?洋風で整えた場合は、どうしたものかな。以前も頂いたセロリの浅漬けやトマト系、榮川と一緒に入っていたジュレみたいな感じ?
他、洋梨やイチジクにも似た風味は、チョコレートとも合いそう。塩気や甘さなどのペアリングとかも考えて、たとえばいわきのメヒカリ塩チョコとかと合わせたら面白いかも?
というわけで、そろそろ実際に来たfukunomoペアリングと合わせてみます!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット
・白河高原清流豚三五八漬
<福島県白河市/有限会社肉の秋元本店>
・浅漬セロリ
<福島県伊達市/有限会社八島食品>
・山うど油炒め
<福島県大沼郡会津美里町/有限会社カネマスクリキ食品>
・韓国海苔プレミアム
<福島県相馬市/株式会社サンエイ海苔>
・会津チーズ饅頭 くいっちい
<福島県河沼郡会津坂下町/株式会社太郎庵>
・白河高原清流豚三五八漬 <福島県白河市/有限会社肉の秋元本店>
最初は、有賀さんの地元白河が誇る白河高原清流豚から。fukunomoコメントによると「白河マリアージュとして蔵のお二人が推した逸品。旨味が上品な脂と三五八の風味がお酒との相性抜群」とありましたが、これは来ましたね、三五八!
三五八とは塩が三、こうじが五、米が八の割合の漬床で発酵させた漬物のこと。福島県など東北を中心にした郷土食です。塩麴にも似たテイストで、野菜の他、お肉も漬けられます。
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/30_14_fukushima.html
三五八で漬けたお肉は旨味が熟成されて甘く柔らかく、とても風味豊かになります。これを焼くと、さらに香ばしさまで加わる。陣屋の独特の香味と三五八の香味がシンクロし、凝縮された肉の旨味がお酒と溶け合ってさらにジューシーに。
もう、何も言えることはありません。発酵食品の底力みたいなものを、感性が飽和し語彙力を失うほど堪能できます。多幸感が半端ないです、ええ。
・浅漬セロリ <福島県伊達市/有限会社八島食品>
fukunomoコメント:「暑くなる日も多い4月末、さっぱりとした味を楽しんで頂くマリアージュ。セロリの独特の風味を陣屋がいなしてくれます」
はい。さっきの勝手にペアリングコーナーでも私が箸休めに欲しがった一品です。
やはり、今回の陣屋のペアリングのポイントは「香味」。独特の風味やスパイスなどのアクセントこそが決め手ですね。このセロリは箸休めになると共に、特有の香味が陣屋に新たな変化と多様性、彩りを添えてくれる。さらに先ほどの三五八漬けの豚と合わせるとかなりのメリハリが出て面白い。実に佳きです。
・山うど油炒め <福島県大沼郡会津美里町/有限会社カネマスクリキ食品>
「春は苦味を盛れ」との言葉があるように、この時期の旬としても相応しいペアリング。今回に限らず、「苦味」というのはペアリングやマリアージュを考える中で重要なスパイスになります。さすがfukunomoというか、要所要所を的確におさえている信頼感があります。
このおつまみ、「山菜の苦味と香りが、陣屋と合わさると新緑のような爽やかさに変化する面白いマリアージュ」とのfukunomoコメントにもあるように、合わせたときの印象はまさに「新緑」。春を感じさせてくれます。「花鳥風月」を最大限に堪能するには、こういう季節感も欠かせませんね。さらに唐辛子風味のピリ辛さもお酒の素晴らしいアクセントになって実に美味しい。
・韓国海苔プレミアム <福島県相馬市/株式会社サンエイ海苔>
なぜ福島で韓国海苔?? と思う方もいるかも知れませんが、福島県相馬市のサンエイ海苔さん、実は韓国風の海苔製造も手掛けているのです。
fukunomoコメントは「有賀さんの隠れたもう一つの酒、マッコリを試飲させて頂いたときに偶然出会った組み合わせ。海苔の食感の良さと香ばしさ、ほどよい塩気は陣屋にもマッチ」とのこと。韓国風海苔を合わせた場合、胡麻油の香味も加わるのでまた面白いアクセントになりますね。この香味はさっきの山うど油炒めとの相性も実に良いので、お酒のみならず食材同士でのペアリングまで出来てしまう感じ。
・会津チーズ饅頭 くいっちい <福島県河沼郡会津坂下町/株式会社太郎庵>
福島県内ではテレビCMでもお馴染みの、会津太郎庵から「くいっちぃ」。
「チーズとの相性をおすすめして頂き見つけた組み合わせ。おまんじゅうですが、甘すぎず中のチーズの存在感が良く合います」とのfukunomoコメント。
そうでした。発酵の香味が合う今回の「陣屋」には、チーズが合わない訳がありません。特に、この「くいっちぃ」は香り高いチーズ感がたっぷりで、淡い甘さとしっとり食感が魅力的。〆はもちろんのこと、食中に合わせても理想的なおつまみです。
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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