欲しい人には必ず届ける、確かな酒造り。奥の松酒造《福島県二本松市》 - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

欲しい人には必ず届ける、確かな酒造り。奥の松酒造《福島県二本松市》

十九代当主 遊佐 丈治(ゆさ じょうじ)さん

1963年、二本松市出身。大学では経営やマーケティングを学び、奥の松酒造に入社。
2007年に社長就任。機械化や海外進出など、新たな取り組みを次々と進めている。

 

福島県にいれば、どこかで必ず「奥の松」という文字を目にしているはず。
酒屋や土産物店はもちろん、スーパーやコンビニにもよく並ぶ、
県民にとってお馴染みの日本酒ブランドなのです。

福島を飛び出し、奥の松酒造の日本酒は今や北海道から沖縄まで、日本全国へ流通しています。
名だたる酒蔵が顔を揃える関西で販売会を行った際には、
会場の売上ナンバーワンを記録したとか。

「関西でも九州でも、欲しいという人がいるのなら確実に届けたいんです」
と淡々と語る遊佐さん。

“欲しい人に届ける”
――言葉にするとたった一言ですが、そうそう簡単なことではありません。

全国の販売店に十分な商品を流通させるための大量生産の体制、もちろん求められる高い品質、
そして手の届きやすい価格。

このすべてを叶えているから、全国で「奥の松」の文字を目にすることができるのです。
そんな奥の松酒造の酒造りとは――?

 

 

機械と人の手によって生まれる酒

 

先代が進めてきた機械化を本格的に進めたのが遊佐さんです。

「うちは出荷量が多いですから、お客様に確実に酒をお届けするには、うまく機械を使う必要があります。
生産量や品質などを踏まえた私たちのゴールを目指すには、人力だけは足りないんです」

とはいえ、ボタンを押せば自動的に酒が出来上がる
――わけではありません。

日々変わる原料の状況や天候を見極め、機械に指示を出すのは人間の仕事です。
人がいなければ、酒は出来ません。

奥の松酒造には、「現代の名工」と「黄綬褒章」を受賞した殿川杜氏がいます。
酒造りにどんな秘密があるのかと伺ってみると、遊佐さんは「とにかく手を抜かないことです」とだけ。

マニュアルはあるものの、酒造りの基礎が書かれているだけで特別な内容ではないとのこと。
殿川さんをはじめ、蔵人ひとりひとりがプライドと向上心を持って取り組んでいる結果が酒に表れているというのです。

  

 

世界一になったSAKE

 

その蔵人たちの努力で、世界一の日本酒が生まれました。
今月お送りした『あだたら吟醸』は、世界一に選ばれたことがあるのです。

舞台は、「世界で最も大きな影響力を持つ」といわれるワインコンテスト「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」。
2018年、「SAKE部門」において最高賞である「チャンピオン・サケ」に選ばれました。

『あだたら吟醸』は奥の松酒造の“スタンダード”。
毎晩気軽に楽しむことのできる、定番の一本です。

定番酒がこれほどの評価を受けるとは、奥の松酒造の技術力を窺い知ることができます。
世界一の日本酒の味を、あなたの舌で確かめてみてください。

  

 

日本の酒を世界へ

 

奥の松酒造は、全国新酒鑑評会において14年連続で金賞を受賞しています。
決して簡単なことではありません。

「賞を取ることは、蔵としての品質保証のようなものです。
お客様に奥の松を知ってもらうきっかけにもなりますしね。
ただ、賞はひとつの指針であって、ゴールではありません。
もっともっと上を目指していきますよ」

そして、遊佐さんの目は海外へも向いています。
「“日本”酒――国の名を冠した、文字通り日本を代表する酒です。
日本の文化である日本酒を、海外へも広く伝えていきたいです」。

淡々と、しかし確かな決意を語ってくださいました。