今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第69回目】
堪能する──。このお酒の飲み方には、そんな言葉が相応しいのかもしれない。
仙桃に似せ誂えた茉莉花 (まつりか)にも似た、美しい一輪花のほころぶ蕾を思わせる。そんな趣がある酒だ。
たおやかな口当たりに、温まるにつれて馥郁(ふくいく)とした吟醸香がゆっくりと花開いていく。伴う僅かな泡感は、静寂の夜空に散りばめられた金銀砂の瞬きのように心華やぐ。
陶酔への心地良い誘いに委ね、急(せ)いて流し込んでしまうのは実に勿体ない。
口に含み揺蕩わせるように、その花を愛で、機微と余韻の広がりを愉しんでこそ。風流や粋というものを、この気配を、存分に堪能するのがよろしい。
やがて、この酒が持つ上品な香りの先にある深淵に、豊穣の地の滋養を集えたかのような力強さ、その意外なほどのポテンシャルに気付かされるだろう。
この懐の深さ、彩りのグラデーションこそ、「喜多方テロワール」と呼ばれるブランドの本懐と心得るべきなのだろう。
■今月の美酒
・喜多方テロワール EPISODE Ⅰ<福島県喜多方市/ほまれ酒造>
今回は、喜多方のほまれ酒造から「喜多方テロワールエピソードⅠ」。雲嶺庵 と名付けられた蔵の日本庭園が美しいほまれ酒造は、世界的なワインコンクールであるインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の日本酒部門において2015年のチャンピオン・サケ、すなわち出品された全ての酒の頂点である称号を得た こともある、文字通りの世界的な名醸造所です。
その高い技術力は日常を彩る普段使いの身近なお酒にまで遺憾なく発揮されており、私も学生時代から今もなお、長年お世話になり続けている酒蔵さん。私にとって原点の一つとさえ言える存在でもあります。
それでは今回も早速、「勝手にペアリング」からはじめていきましょう!
■勝手にペアリングを考えてみた
まず、このお酒の味わいとの相性について。ほまれ酒造さんのお酒はオールマイティなものが多く、今回のお酒も全般的に何にでも合わせられそう。
ただ、この香り高さと奥行のグラデーション、まさに「堪能」すべき味わいは、せっかくなので懐石とかフレンチとか、創作料理とか、少し手が込んだ料理や上等な素材に合わせてあげたら面白い気はする。果たしてどんな表情を見せてくれるのか、とても気になる。
喜多方という山あいの土地の酒でありながら、魚介類にも合わせてもよさそう。特に個人的には、この風味にはたとえば雲丹の風味を重ねてあげたら面白そうかな?と思える。さらに贅沢を言えば少しレア感がある方が合うので生雲丹なんて合わせたら最高だろうね。
もちろん、ウニ風味ソース仕立ての料理でも良い。あと、多分これ牡蠣にも合うね。白ワインのシャブリみたいなニュアンスで。
そう思いつつ、いわき市大川魚店さんの「黄金かずのこ漬け」が手元にあったので、海産物として合わせてみた。
実際、飲むほどに「魚卵を美味しくペアリングできるのは、ほぼ日本酒の特権だ」とつくづく思える。ワインとかだと、かなり生臭さとか錆臭さみたいなのが出てしまいがちなので。というかこの酒、もしかしたら白ワイン以上にキャビアに合うかもしれない。
ほかには宮城県女川の高政さんの「揚げかまぼこ」 も手元にあったので炙って併せてみたけど、これもとても良い。香ばしさと旨味のバランスが良いね。
あとは喜多方同士で、にくにく工房 のチャーシューも ありじゃないかな。ラーメンの町喜多方はチャーシューの旨味が半端ではないよね。
しかし、改めて。この上品で香り高いのに懐が広いという特性はなんなんだろうね。ほまれ酒造さんが手がけるから尚更かな。和洋両方にとても合うよね。
洋であれば、パルメザンとかグラナパダーノ、ミモレットなどのハード系チーズとの相性良さそう。スティルトンなどのアオカビ系も全然平気。福島関係無くなってしまうけど。
口の中で温めることで潜在的な香り高さを内包してるので、少し香りが立つおつまみとかも良さそう。味噌などにしても、麦みそとか合わせたら良い感じがしそう。もしくは、味噌に青じそなどを合わせたニュアンスも良さそう。
肉をイメージすると、ローストビーフみたいなのが合いそうだと思う。ホースラディッシュの風味と相まって引き立ちそう。
他のおつまみだと、たとえば漬物…はあまり個人的なイメージにないけど、もしやるとすれば、やっぱり味噌がいいかな。
時節柄、何か喜多方のテロワールを感じさせる野菜とかあるといいよね。余蒔きゅうりには少し早いだろうけど、何かないかな。
あと、この香り高さを楽しむ意味で〆に会津の蕎麦があるといいな。喜多方だけに、山都の蕎麦とかは難しいものかな。
それでは、今回もfukunomoペアリングと合わせてみましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット
・ほろよいチャーシュー 白豚
<福島県喜多方市/にくにく工房>
・まこの旨煮
<福島県いわき市/大川魚店>
・揚げ蒲鉾 チーズ
<福島県いわき市/夕月>
・食べるオリーブオイル
<福島県郡山市/小田原屋>
・福島県産 スナップエンドウ
<福島県会津若松市/JA会津よつば>
・ほろよいチャーシュー 白豚 <福島県喜多方市/にくにく工房>
はい、チャーシュー来ましたね。しかも喜多方の純米原酒で仕込んだと来ました。喜多方ラーメンが全国区で有名な喜多方は、当然、チャーシューもおいしいのです。
脂の旨味と香りがお酒の旨味と香りに上手にリンクして、とてもジューシーな風味が楽しめる一品。喜多方テロワールの懐の広さ、このグラデーションがお肉の旨味をさらにダイナミックにしてくれる印象です。
口の中でホロホロとほぐれる柔らかな肉!ほとばしる旨味!これはまた、酒単品とは別のニュアンスでの文字通り「堪能」。満足感がたまりません。
・まこの旨煮 <福島県いわき市/大川魚店>
ミナミダラの魚卵を昆布と共に旨味甘味たっぷりで煮付けたもの。魚卵に合うとは言いましたが、ここに旨味をさらに盛り込む昆布と合わせて煮付けてきましたか。もう完璧じゃないですか!
昆布と煮付けたことで匂いが控えめに、代わりに旨味はさらに強化。この芳醇さを「喜多方テロワール」と合わせることで、プチプチの食感と共に、これまたダイナミックな旨味が口の中で弾みます。
それにしても、通販用の肴としての扱いがあまり簡単ではない魚卵を、なるほど、こういう形で用意したのは工夫しましたね。さすがfukunomo!
・揚げ蒲鉾 チーズ <福島県いわき市/夕月>
次は、いわき市で古くから有名な蒲鉾メーカー「夕月」さんから、チーズ入り揚げ蒲鉾。これはそのままでも美味しいけど、個人的には断然、炙って食べてほしい。
炙ることによって蒲鉾自体が香ばしくおいしくなるのはもとより、一緒に口に含んだお酒が僅かに温められ、その華やかさと香りと旨味が一気に花開く感覚が味わえます。
そこに蒲鉾の香ばしさ、旨味が重なる。さらに少し溶けかけたチーズがアクセントになって、さらにグラデーションを豊かにしてくれます。
・食べるオリーブオイル <福島県郡山市/小田原屋>
・福島県産 スナップエンドウ <福島県会津若松市/JA会津よつば>
最後は、小田原屋さんから「食べるオリーブオイル」。そして、そこに新鮮なスナップエンドウを合わせます。
スナップエンドウ、この時期にちょうど美味しい野菜でいいですね!
これは、そのままゆでただけでも美味しく食べられます。野菜の素朴な味にも「喜多方テロワール」は優しく寄り添ってくれる。これはこれで箸休めとしても秀逸なので幾つかはこれで楽しんでみてください。
残りは、「食べるオリーブオイル」と共に。この「食べるオリーブオイル」はニンニク風味とも合わさって、いろんなおつまみをお手軽アヒージョ風味にしてくれます。今回のスナップエンドウと合わせると、野菜そのものの素朴な香りと甘さが強いところ、オリーブの芳醇な香りが加わって更に芳醇で美味しくなります。
これは、手元にエリンギやシイタケなどがあれば、薄くスライスして更に付け合わせてもおいしいおつまみになります。
「食べるオリーブオイル」、1食では食べきれないでしょうからfukunomoを堪能した後も色々なおかずに合わせられてちょっとお得感もありますね!
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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