代表取締役社長
唐橋 裕幸(からはし ひろゆき)さん
1973年生まれ。大学卒業後、ワインメーカーに勤務。
米国留学を経験し、2004年にほまれ酒造に入社。
2011年より4代目社長を務めている。
世界を見据えた酒造り
ワインメーカーで働いた後、26歳でアメリカ・サンフランシスコへ留学した唐橋さん。
「すべての大きさに圧倒されました」と話します。
上手く言葉が通じない中でどうコミュニケーションを取るか、何があっても折れないメンタリティとはーー。
アメリカで学んだことが、今、ほまれ酒造の海外展開に生かされています。
例えば、世界最大規模のワインコンテストである「I W C(インターナショナル・ワイン・コンテスト)」。
2015年、ほまれ酒造は最高位となる「チャンピオン・サケ」を受賞しました。
福島県内の酒蔵として初の快挙は、震災から数年後の福島に明るいニュースをもたらしたのです。
酒造りの根本は人
「安らぎと喜び、そして感動を与えるものづくり」という企業理念は、4代目となった唐橋さんが作ったものです。
「人は癒しや安らぎを求めて酒を飲むものです。そのひと時に、もっと感動を与えられたらーー」
規模が大きく、100種類を超える酒を製造していたこともあるほまれ酒造。
機械化が進んでいるのはたしかですが、酒造りの根本を支えているのは人です。
唐橋さんよりも社歴の長い杜氏にもお話を伺うことができました。
「米も水も環境も日々変わりますから、同じ銘柄であっても同じことをしているわけではないんです。
同じことをするのではなく、同じ結果が出るように、日々酒と向き合っています。
どんなに長く酒造りをしていても、毎年1年生のような気持ちですね」
「技術力はもちろん、論理的で若い人たちをきちんと指導してくれています。本当に信頼しています」と唐橋さん。
信頼できる蔵人がいるからこそ、多種多様かつ品質の高い酒が生まれているのでしょう。
喜多方のすべてを味わってほしい
今月ほまれ酒造からお届けするのは『喜多方テロワール EPISODE I』です。
ワインでよく用いられる「テロワール」とは、「土地」「風土」といった意味です。
米は喜多方産、酵母「うつくしま夢酵母」は福島県オリジナルのもの。
そして一見するとワインのようなラベルに掲げられているのは、喜多方市の形です。
ラベルデザインまで唐橋さんが手掛けました。
唐橋さんの長年の夢が“会津バレー”構想です。
ワインの一大産地であるアメリカ・ナパバレーのように、会津・喜多方も日本酒の一大産地にしたいーー。
実際、喜多方市には酒蔵が密集しています。
酒蔵を徒歩で巡って飲み比べをする「のんびりウォーク」には、毎年12の酒蔵が参加。
彼らと協力して、「GI喜多方」(※)の取得にも取り組んでいます。
酒造りもイベントも、すべては喜多方を盛り上げるために。
日本から世界を見つめ、唐橋さんは歩み続けています。
※「G I(地理的表示)」:地域のブランドとして国に認定されたもの。