今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第72回目】
夏の夜。淡く滲む街灯りと、見上げる空が湛える漆黒のコントラスト。
静寂を割き、その間隙にヒュウっと音が上がる。
刹那、夜のキャンバスを大輪の花色に染める。
歓声と余韻、しばしの静寂。
ボトルラベルを飾る鮮やかな花火は、まるで、この酒の体現とさえ。
注がれたグラスに佇む薄濁りは、まさに遠い街灯りを彷彿とさせる。
ところが口当たりは一転、サラリと吹く夜風のような透明感に溢れている
コクは強すぎず淡麗。
しかし、いわゆる「辛口」とは別の穏やかさ。
小さな花々の咲きほころぶ瞬間を集めたような、織り成される控え目ながらも華やぐ香り。
それらが心気味良い酸味と共に長く余韻にまで残り、最後は線香花火の様に燻る。
まさに「夏酒」と呼ぶに相応しい、爽快かつ風流を感じる酒だ。
「夏は夜」とは、あまりに良く知られた古典の言の葉。
月のころはさらなり、やみもなほ──。
「蛍の多く飛びちがひたる」とは趣を異に、夜を照らす花火をもし見たならば。
そしてこの酒を口にしたならば、古の随筆家はいかなる言葉を紡いだろうか。
そんなことを想いつつ、酒をただ、ひとくち、ふたくちなど。
ほのかにうち上がり光りて行くも、華が降るも、美味し。
曙を待つ夏の夜は、さらさらと更けていく。
■今月の美酒
・天明 さらさら純米 lovely summer 打上花火 fireworks<福島県会津坂下町/曙酒造株式会社>
今回は、会津坂下町から曙酒造の「さらさら純米」。
「天明」をはじめとした数々の銘酒で知られる実力蔵です。
「さらさら純米」はその名の通り、ゴクゴクと飲める。残暑の季節に飲むにはピッタリなお酒。
合わせる肴は、このサラっとした口当たりと爽やかな酸味を生かしてあげたいと思えます。
それでは早速、今月も「勝手にペアリング」からいってみましょう!
■勝手にペアリングを考えてみた
最初の印象として、この風味は炙った肴との相性が良さそうに感じる。ただし、繊細な香りを消すのは勿体ないので、ニオイが強すぎない素材がいいと思う。
その意味では、炭火でじっくり焼いた蒲焼なんかを合わせるのがお薦めかな。
あとは、王道的には焼鳥など。鶏肉を味噌やタレ系で炙っても良さそう。
酸味を生かすなら酢の物は間違いなく合うと思うので、酢蛸の薄切りなんかも良いかも。アオサとかの酢の物も美味しいかも知れない。
そして手元にあった中で実際に試した中では、モッツァレラチーズとの相性が想像以上に凄く良かった。
チーズの酸味がお酒の酸味とぶつかりあった結果、洋梨のような甘さとジューシーさが生まれた。
ペアリングという以上にマリアージュ。
これは凄い。
モッツァレラ以外を合わせるにしても、酸味が残るフレッシュ系のナチュラルチーズが良い。
あるいはそれに近いニュアンスのヨーグルトでも良いと思う。
ここに、さらにトマト…も王道で良いけど、この時期だと福島ならではの季節感で、生の桃とか合わせたら最高かも知れない。
とはいえ、このままモッツァレラと合わせただけでも万人向けに美味しい。
その上で、さらに仄かな苦味のあるライム果汁とか、あるいはミントなども合わせてみたい好奇心がくすぐられる。
素直でストレートな喉越しゆえ、強すぎる味や臭いのものは(当然、合うものもあるだろうけど)全般的に避けた方が無難に思える。
辛味、香辛料も、全般的にはあんまりお薦めはしないかな。
ただ、胡椒や山椒、ハーブ系とかなら良さそうだけど。
とはいえ、爽やかながらも刺身こんにゃくや豆腐系は、お酒自体に強い透明感があるので水っぽさが際立ってしまうかも。
それでは、いよいよ今回のfukunomoペアリングを実食していきましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット
・ソフトサラミ
<福島県郡山市/福島県食肉流通センター>
・むし焼きそば
<福島県郡山市/あらい屋製麺所>
・四季の味覚 みずなす
<福島県伊達市/八島食品>
・べこの乳発 会津の雪 無糖
<福島県会津坂下町/会津中央乳業>
・福島県産 桃
<福島県国見町/陽と人>
・ソフトサラミ <福島県郡山市/福島県食肉流通センター>
・むし焼きそば <福島県郡山市/あらい屋製麺所>
fukunomoからのメモによれば、ソフトサラミは『ビニールをむいてお好みの厚さにスライスしてお召し上がりください。冷たいままでも旨味のある脂を、「さらさら純米」が旨味は残しつつ脂っぽさを落としてくれるマリアージュ』とのこと。
なるほど、たしかにしっとりした口当たりで食べやすいソフトサラミは、この酒と一緒に合わせると旨味がすっ…と素早く溶け込んでくる。
清涼感を生かしながらも溢れてくる、絶妙な美味しさ。
更に、半分残ったものを、キャベツやもやしと共に焼きそばと一緒に炒めておく。
こちらは、火を通したことでよりジューシーな風味と香ばしさが増す。
さらにキャベツともやしのハリハリ感、独特のコシのある食感が印象的なあらい屋製麺所の焼きそば麺との絡みが心地良い。
ソフトサラミと焼きそばの油の風味が混じり、そこにソースの甘味と僅かなスパイス感。
まるでお祭りの屋台で買ったような特別感、高揚感も合わさって、お酒の魅力が益々引き出されていく。
食中から〆にまでゆるゆると食べ続けられ、どのタイミングで口にしても美味しい。
・四季の味覚 みずなす <福島県伊達市/八島食品>
こちらは水茄子の清涼感を生かした浅漬け。
「水っぽさ」が出てしまわないかな?と少し不安に思いながらも口にすると、確かに爽やかながらも思ったよりジューシーさもあって気にならない。
むしろ、飲んでいると身体が少し火照ってくるところに優しい箸休め。
とても良いバランスですね。
・べこの乳発 会津の雪 無糖 <福島県会津坂下町/会津中央乳業>
・福島県産 桃 <福島県国見町/陽と人>
次は会津中央乳業から「べこの乳発 会津の雪 無糖」。
県外の高級百貨店などでも取り扱われる「べこの乳」を、濃厚なヨーグルトに仕上げたもの。
ヨーグルト自体がしっかりした硬さを持ち、かつ無糖ということもあって、まさにイメージしたモッツァレラチーズにも似た食感と風味、仄かな酸味を感じさせてくれます。
ヨーグルトとお酒の酸味同士と合わさることで、双方から立ち上る繊細な優しい甘味と香りがより感じやすくなる。
曙酒造さんには「Snowdrop」という人気の日本酒をベースにしたヨーグルトリキュールがあるのですが、それを彷彿とさせるニュアンス。
(何しろ、そもそも「Snowdrop」の原料ヨーグルトも同じ会津中央乳業さんのヨーグルトなのです)
これは1本の酒で2本分の味を楽しめる感覚があってお得感ありますね。
さらに、ここで今の季節ならでは!福島名産「桃」を合わせてあげることで、涼感たっぷりのサングリアのように楽しむことも出来ます。
知っての通り、福島の桃は全般的に香り高く、とてもジューシーに滴る果汁が魅力的。
もちろん単品でお酒と合わせても美味しいペアリングになるのですが、これを冷えたヨーグルトやチーズと合わせてあげることで、より輪郭がはっきり引き立ちます。
実は福島の桃は、同じ福島のヨーグルトや酒と合わせることで、新たな表情、魅力を見せてくれる。
これは福島在住か、fukunomoユーザーでなければ中々味わうことの出来ない特権です。
ぜひ、ご堪能ください!
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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