“いつもの酒”が金賞に輝く 夢心酒造《福島県喜多方市》 - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

“いつもの酒”が金賞に輝く 夢心酒造《福島県喜多方市》

代表取締役社長
東海林 伸夫(しょうじ のぶお)さん

写真好きで、大学卒業後は2年間写真業界で働く。
1995年に夢心酒造に入社。酒造りには関わらず、経営に専念。
写真は今でも続けており、商品撮影を自ら行うこともある。

 

 

お客様の口に入るまで

 

東海林さんは「お客様のもとへ届くまで責任を持つ」ということを徹底しています。
酒蔵で美味しいお酒を造るのは当たり前のこと。

流通の過程――販売店や飲食店の環境によって、お酒の質はいくらでも劣化してしまいます。
そのため、東海林さんはたびたび飲食店へ足を運び、蔵と同じ味わいが保たれているかどうかを自ら確認しています。

「お客様と話すことが最大のマーケティングです」と話す東海林さん。

普段飲んでいる銘柄は?好みの味わいは?どんなおつまみと合わせる?
――お店で出会ったお客様と交わした会話が、酒造りのヒントに。

お客様と話せば話すほど、どんどん商品が洗練されていくのだといいます。
日本全国、そして海外まで、東海林さん自ら足を運んで多くのイベントに参加しているのはそのためです。

 

 

思わぬ金賞受賞の喜び

 

今月お送りした『夢心』は、喜多方で愛されてきた“昔ながらの味わい”の普通酒です。
蔵の名前を冠したこのブランドで、夢心酒造は今年7年ぶりに全国新酒鑑評会で金賞を受賞しました。
これには東海林さんも驚いたそうです。

「周りの蔵元も驚いていましたよ(笑)。なんせ、“鑑評会用”の造りはしていませんでしたからね。
昔から変わらない、普通酒用の大量生産ができる設備で造っているんです。
うちの定番が金賞に輝いたんですから、本当にうれしかったです」

賞を狙うために、別の製造ラインを準備する蔵も多い中での快挙です。
「客観的な評価ができなくなってしまうから」と酒造りには関わらない東海林さんですが、品質への強いこだわりが賞という形になりました。

 

 

助演男優賞を

 

コロナ禍以前からアメリカへ通い、販促を続けている東海林さん。
ようやく日本酒が定着してきたところだといいます。

「今後の目標は『ぬる燗』を広めることです。
冷たくもなく熱くもなく、『ぬる燗』ってとても日本らしい文化だと思うんです。

まだ良さを伝えられていないので、これも広めていきたいですね。
それからハイボールならぬ『日本酒ハイボール』も!
炭酸で割ればアルコール度数が下がって飲みやすくなりますし、暑い夏にぴったりじゃないですか」

東海林さんが以前から言い続けている目指す姿は、「助演男優賞」。
主役はあくまで料理やおつまみで、それを引き立てるのが日本酒であるーーという考えです。

ただの脇役ではなく、アカデミー賞を取れるような一流の脇役。
日本で高く評価されている夢心酒造の酒が、海外でも大活躍する日は遠くないでしょう。