今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第74回目】
藤乃井の銘で知られる佐藤酒造店の創業は、宝永7年(1710年)と古い。
奥州街道筋に上質の井戸があり、藤の枝が豊かなるを見て、
二本松藩主丹羽公より「藤乃井」の銘を授けられた歴史があるという。
伝統ある酒蔵が満を持して醸す、古い元号の名を持つ新しい酒──。
それは紛れもない佳酒でありながら、新境地を感じさせる印象の珍しい味わい。
強めの酸味から入り、続く深いコク。
滑らかな口当たりと僅かな甘味。
それから淡く香り高い苦味の余韻が心地良く続いていく。
やや個性立つ風味ながらも、嫌な感じは全くしない。
むしろ二口、三口と少しずつ馴染むごとに、その酸味が、香りが、ほろ苦さが、次第に癖になってくる。
ただ、この新しい感覚には不思議な既視感もある。
「強めの酸味から入り、続く深いコク。淡く香り高い苦味の余韻」。
冒頭に挙げたそれは、紛れもなく旨い酒を称える賛辞に違いない。
しかし同時に、極上の珈琲にも共通する魅力ではないか。
「滑らかな口当たりと僅かな甘味」もまた、ミルクと混じる口当たりに近い。
なるほど、この酒は珈琲を思わせる不思議な魅力がある。道理で癖になるわけだ。
初めて珈琲を知ったときから次第に年を重ね、次第に日常に欠かせないパートナーとなったように。
いつかこの酒が、多くの人の喉と暮らしを潤してくれるような、そんな日をつい想ってしまう。
この新しい出逢いは、きっと人生を豊かにしてくれるに違いない。
■今月の美酒
・純米吟醸 宝永 -HOEI- <福島県郡山市/佐藤酒造店>
藤乃井の酒は個人的にも好きで、プライベートでもみかけたら良く購入しているブランドです。
ただ、出荷量が限られるため県内でも稀少で、まさに「秘蔵の地酒」と言える銘酒。
そうした中で、今回の「宝永」は更に他ではあまり類を見ない、かなり珍しい設計。
美味しいのはもちろん、どことか珈琲をイメージさせるようなお酒です。
今回も、早速「勝手にペアリング」からはじめてみましょう!
■勝手にペアリングを考えてみた
本格的な喫茶店で出される非常に上質な珈琲を思わせるので、合わせる肴も「喫茶店で出てくるセット」をイメージしてあげると合う予感がする。
たとえばパスタとか、ハンバーグとか、ハムチーズ&サラダとか、スクランブルエッグとか、ウィンナーとか。
喫茶店オリジナルのコク味たっぷりカレーなんかも合うかも知れない。
そこでまず思いついたのが、天栄村の「う米めん(玄米麺)」をパスタに見立てて、ここでお薦めされているいずれかのパスタソースとセットにしてみるといかがなものか。
このお酒の風味特性に、かなり合いそうに思える。
あとは、県内の銘柄豚のベーコンを合わせてカリカリベーコンにするとか。
そこに少しブラックペッパーあるいは山椒などの風味が加わっても美味しいと思う。
更に、キノコとの相性も良い。
たとえば小川きのこ園のエリンギとか、小野町の原木しいたけなんかも一緒に付けてあげると香り高さと共に、少し秋らしさも出てくるかな。
チーズはいわずもがな。全般的に合うと思います。
あとはヨーグルトもいいね。
以前頂いた「べこの乳発 会津の雪(無糖)」と合わせてみたら凄く相性良かった。
季節のフルーツを入れるとなお良し。
この時期は和梨や林檎も美味しいかも知れないよね。
漬物系はダメではないんだけど、個人的には今回は箸休めなども洋風でいきたい感じがあるなあ。
小田原屋の「食べるオリーブオイル」シリーズとか?オイルだから全然箸休めてないかな。
そうなると酸味を生かしたピクルス系かな。
以前頂いた、白ワインジュレのピクルスとかも良さそう。
香味野菜の香りとかは、このお酒に合わせ易いと思う。
珈琲のイメージいけば、甘味系は全般的に合う。
福島が誇る銘菓どれでもイケてしまうと思うので、贅沢な悩み。
郡山の酒だし、郡山でいくとした場合は「檸檬」とか、いっそ王道「ままどおる」とか。
クリーム系をあわせたらウィーン風珈琲みたいになるかもね。
それでは、いよいよ今月のfukunomoペアリングを試していきましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット
・うつくしまエゴマ豚西京漬
<福島県郡山市/鈴畜中央ミート>
・会津 ピリカラしそみそ
<福島県河沼郡湯川村/マルコウ醸造>
・半熟スモークジャンボエッグ
<福島県福島市/燻製工房 木香>
・キャベツのハルピン漬け グリーンボール
<福島県いわき市/西野屋食品>
・福島県産 りんご
<福島県本宮市/橋本果樹園>
・うつくしまエゴマ豚西京漬 <福島県郡山市/鈴畜中央ミート>
手元にあった秋ナスの刻みと一緒に弱火からじっくり炒めてみたところ、豚肉から溶け出した脂と炙った西京味噌の香ばしい風味が絡み合い、肉汁滴るジューシーな仕上がりに。
fukunomoの解説によると、「甘味、旨味の強いエゴマ豚と上品な味噌の風味が特徴。『宝永』と合わせると脂のうまみを溶かしてくれる心地良さがあります。」
なるほどなー。確かに言葉通りに豚肉と味噌の旨味がバランス良く溶け込んでいて、お酒が旨味の塊のような調味液に変わります。
口に運び、じっくり噛みしめるごとに、ジュワ、ジュワ、じんわり。
「旨い」との言葉が思わず出てきます。
・会津 ピリカラしそみそ <福島県河沼郡湯川村/マルコウ醸造>
シソの強い風味と濃い目の味噌が絡み合った一品。
それらの香味と甘味と旨味がお酒にじんわり染み出してきて、口当たりにまろやかな柔らかさを生み出してくれます。
これはまさに、「勝手にペアリング」でイメージした「香味野菜の香り」のエッセンス。
全体のアクセントとしても秀逸です。
・半熟スモークジャンボエッグ <福島県福島市/燻製工房 木香>
次は福島市の燻製屋さん「木香」から「半熟スモークジャンボエッグ」。
珈琲を思わせる深いコク味と燻製香はとても相性が良く、相互に香りが立つイメージ。
黄身も半熟で絶妙な旨味と口当たり。
ここに、お好みでマヨネーズをつけてもらうと、少し別の表情も。珈琲にミルクを入れたようにお酒に更に濃厚な旨味が溶け広がり、口当たりもまろやかになっていきますね!
・キャベツのハルピン漬け グリーンボール <福島県いわき市/西野屋食品>
今回、新しい出会いだったのがこの「キャベツのハルピン漬け グリーンボール」。
いわき市の西野屋食品さんのお漬物は良く食べていたのですが、このメニューは初めてです。
「ハルピン漬」と呼ばれるお漬物を知りませんでした。
唐辛子、にんにく、しょうゆで浅漬けしたキャベツは、ザクザク食感も適度に残っていてとても美味しい。
口にするごとに爽快感が走り、他のおつまみの濃厚な旨味を良い意味でリフレッシュしてくれるので箸休めにもピッタリです。
「勝手にペアリング」のときは、漬物はあんまりイメージになく、やるなら洋風かな?と思っていた中で、まさかの中華風。
この発想はありませんでしたが、とても良いペアリングですね。
fukunomoによれば、お漬物に強いこだわりがある蔵元が、今回持ち込んだ中で太鼓判を押した唯一の漬物とのこと。
道理で、美味しいわけだ。
・福島県産 りんご <福島県本宮市/橋本果樹園>
そして最後は、福島県産のりんご。
全国ではあまり知られてないかも知れませんが、福島は古くからあちこちに林檎を育てる果樹農家があり、地元で長く親しまれてきました。
日本酒の大吟醸には、しばしば「りんごのような風味」(専門的にはカプロン酸エチルと呼ばれる香り成分)がある中で、
このお酒に林檎を加えてあげると吟醸香が強化された感覚になるのみならず、珈琲に甘味、まるでアップルパイを合わせたようなペアリングにもなります。
甘味を強めた菓子ではない、生の果実ならではの優しい甘さがHOEIの酸味とも好相性で、
実に美味しい。
これはいいですね!
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
この記事を読んでfukunomoを試してみたいと思った方は、下にある特別リンクからfukunomoスタンダードコース、またはプレミアムコースにお申し込みいただくと、特別なおまけも付いてきます♪
申込期限2024年10月15日(火)まで