今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第75回目】
酒は日常と共に在る文化であり芸術である。
よって酒を味わうことは文化芸術を五感全てで堪能する嗜み──というのが持論である。たとえば絵画は身近な色や素材から世界を創り、音楽は場の空気ならず人々の心まで震わせる。今や日本酒は食品製造という意味付け以上に、創作作曲などの次元にさえ達していると言っても過言ではない。
現代の日本酒、特に吟醸酒は洗練された技術によってポテンシャルが引き出され、素材として使われていないはずの林檎、洋梨、バナナ、メロン、パイナップルなどの香りさえ表現するようになった。それらが繊細に重なりグラデーションを為し、カクテルのような独特の協奏を醸す。実に多彩な表現が鮮やかに踊る。その一つひとつが珠玉の作品である。
そうした中、今回の大和川は「リンゴ酸」。ついに、その銘に堂々と「林檎」そのものを当ててきた。
その名に相応しいほのかな甘酸っぱさと強い酸味が印象的。
芳醇なワインのような方向性もありつつ、ワインとも違う野心的な1本。
こうした新たな出逢いは、月に一度のfukunomoの箱を開ける儀式はいつも、まだ見ぬ芸術を手にした瞬間の高揚感と共に在る。
■今月の美酒
・弥右衛門 リンゴ酸酵母仕込 <福島県喜多方市/大和川酒造店>
fukunomoから届く驚きと新鮮、そして新たな美味しさは、本当に日常に潤いを与えてくれます。
今回、銘に掲げた「リンゴ酸」の酸味をどう生かしてあげるべきか。
早速、「勝手にペアリング」から行ってみます。
■勝手にペアリングを考えてみた
真っ先に思いついたのは、濃厚な味噌系との合わせ。少し踏み込んで言うなら、深いコク味に酸味を重ねることで巻き上げ、混じり合い爽やかに昇華させていくイメージ。
なので、味噌の中でも淡白な白味噌系よりは赤味噌とか合わせ味噌などの濃厚なものがいいかも。柚子味噌などの香味が付くとなお良し。あと、それらを炙った香ばしさとかもいいと思う。
他、唐辛子の辛味も良いのでコチュジャンみたいなのもいいな。本来、唐辛子の辛味は端麗辛口よりも重厚な感じの酒の方が合いやすいものの、コクのある味噌味と合わせることで、この酒の酸味が上手く掛け合わせてくれる感じがある。その意味では、キムチ系も有りかも知れない。
酢の物や香味系は合うと思うので、ニシンの山椒漬がいいかな。
あとは、喜多方で乾き物の豆系も良さそう。
味噌を合わせながらということで、濃厚な味噌を前提とした上での蒟蒻味噌など。刺身蒟蒻と合わせても美味しいと思う。
季節柄、新蕎麦の何かとも併せたいな。蕎麦の実を使ったものとかどうだろう。
甘味を入れるなら、蜂蜜系とかどうかな。ハウス食品のカレールーの影響で、リンゴといえば蜂蜜!のイメージがあるけど、この感じには蜂蜜の甘さは良いと思う。クラッカーと合わせてカナッペみたいにしても美味しいはず。
■今月のマリアージュ/ペアリングセット
・弥右衛門 × 香の蔵 クリームチーズのみそ漬
<福島県南相馬市/みそ漬処 香の蔵>
・ウインナー レモン&パセリ
<福島県田村市/株式会社ハム工房都路>
・ふぞろいのエリンギ
<福島県いわき市/有限会社ユウ 小川きのこ園>
・野菜の旬ピクルス
<福島県矢祭町/株式会社 山のごちそう本舗>
・とろけるチョコクッキー ハート&ハート マンゴー
<福島県石川町/株式会社お菓子のさかい>
・弥右衛門 × 香の蔵 クリームチーズのみそ漬<福島県南相馬市/みそ漬処 香の蔵>
今回のメインは、お酒の醸造元である大和川酒造とコラボした、香の蔵さんの『クリームチーズみそ漬』。
香の蔵さんの『クリームチーズみそ漬』は、人気ドラマ『居酒屋新幹線』にも登場した人気の銘品。そこに今回、大和川酒造酒粕を使用した、蔵限定販売品をfukunomoのために特別提供!とのこと。これはレアですね。
やはり、同じ蔵のお酒と酒粕同士で香りが実にすんなりと重なり合います。シンクロしている感覚。
さらに味噌漬けにされたことで口当たりがまろやかになったクリームチーズ、そこに合わせ味噌のバランスとれた旨味と塩気が重なり、それらを『リンゴ酸』の鮮やかな甘酸っぱさが綺麗に整えるペアリング。和との味噌と洋のチーズ、いずれにも面白い表情を見せてくれます。
なお、チーズの周りについていた味噌は捨てず、お早目に調味料として使うと二度美味しいですのでおすすめ。
・ウインナー レモン&パセリ<福島県田村市/株式会社ハム工房都路>
次に、レモン&パセリのウインナーをごく少量の、ウインナーが温まってほどなく蒸発して無くなる程度の水と一緒にフライパンに乗せて、弱火でじっくり茹でていきます。
水気が無くなってきたら、焦げないようにこまめに転がしながら、香ばしく、皮がテラテラのパンパンになるまでじっくりと炙り続ける。
これが冷めないうちにパリッと食べて、そこにお酒を入れ込むと、じゅわっとした肉汁とパセリの香味、そしてレモンの酸とリンゴ酸の酸味が絡みあって、爽やかな香味を楽しみながらも旨味たっぷりのおつまみになります。
こういう香味系は、このお酒との相性がとても良いですね!
・ふぞろいのエリンギ<福島県いわき市/有限会社ユウ 小川きのこ園>
次は、いわき市小川きのこ園さんが作る、旨味が強めのエリンギ。ウインナーを焼いた後の脂が残るフライパンに少量のバターを足してじっくりと炒めていきます。
ちゃんと火が通った後に、これはお好みで醤油、あるいは先ほどのクリームチーズで残った周りの味噌を少し水で溶いて味付けしていきます。味噌バター炒め、という感じですね。
エリンギ特有のしっかりした食感に酒粕の旨味、味噌の旨味、塩気、そしてリンゴ酸の酸味と香り、旨味、それぞれが重なり、絶品のおつまみに。
また、別の調理方法としてはオリーブオイルとガーリックを使ったアヒージョにしても、このお酒とは相性良くなります。
・野菜の旬ピクルス<福島県矢祭町/株式会社 山のごちそう本舗>
箸休めは、福島県最南端、阿武隈山系の矢祭町から、椎茸農家さんが作るピクルス。美味しいお惣菜をいくつも作っているそうですが、特に人気の一品なんだとか。
リンゴ酸のお酒よりさらにしっかりした酸味がさっぱりさせてくれると同時に、強い酸味と合わせることで、お酒側の甘さが引き出されるペアリング。
他の食材とのバランスも取れているので、とても良いチョイスですね。
・とろけるチョコクッキー ハート&ハート マンゴー<福島県石川町/株式会社お菓子のさかい>
今月の〆は、石川町のお菓子のさかいさんからハート&ハート。
以前もfukunomoで食べて非常に美味しかったお菓子なんですが、今回はマンゴー味という少し変わり種。
ただ、このマンゴー風味が加わることで、リンゴ系の爽やかな香り高さが主体だったこのお酒に芳醇なマンゴーやバナナ系のテイストが加わって、トロピカルフルーツを思わせる化学反応が楽しめます。まさにカクテル的な楽しさ。
ペアリング・マリアージュの醍醐味とも言えるでしょう。
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
この記事を読んでfukunomoを試してみたいと思った方は、下にある特別リンクからfukunomoスタンダードコース、またはプレミアムコースにお申し込みいただくと、特別なおまけも付いてきます♪
ぜひこの機会にお申込みください。お待ちしています。(´▽`)
申込期限2024年11月15日(金)まで