今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第76回目】
名倉山酒造が醸す「会津士魂 純米吟醸 備前雄町」。
無濾過・無加水。一口目から感じる瓶貯蔵と低温管理から生み出された芳醇な旨味と香りのエッセンスが高揚を誘う。心躍らされる。
一方で、口当たりはいわゆる「淡麗辛口」とも言えるほど引き締まり、鮮烈な酸味が続く。
冬の月影、陰陽の妙。艶やかにして、凛。そんな酒だ。
一口、次の一口と含む刹那ごと、刀の一振りのように閃く。その味わい一つひとつの所作が、その名「士魂」に相応しい、気高く洗練された侍の立ち居振る舞いのようでもある。
原料もまた、幕末1859年(安政6年)備前国(現・岡山市中区雄町)で知られた高級酒米「雄町」──。文字通り、侍の時代から人々を魅了し続け、受け継がれてきた古い品種を55%まで贅沢に研ぎ澄まし、誂えられている。
雪が染め、凍え張り詰めた空気と街並み。温もりある暮らしと人の調和。
古さと新しさが交差する会津から、紡がれた一献。
年の瀬を共に過ごすに相応しい美酒である。
■今月の美酒
・会津士魂 純米吟醸 備前雄町 <福島県会津若松市/名倉山酒造>
■勝手にペアリングを考えてみた
キレの良い華やかな酸味と淡い旨味。フレッシュな酸。非常に美味しい。
冬空のような凛とした口当たりを活かしつつ、個人的にはこの酒にぜひとも福島の「温もり」を加えてあげたい。ここに絶妙な円熟味とやさしさを加えると、素晴らしい表情を見せてくれるはず。
それを叶えてくれる第一のイメージは、何と言っても味噌。あまりにも強い旨味を持つため何でも美味しくしてしまう、日本文化の至宝とさえ言える魔法の調味料。
まず合わせてみたのが、会津天宝『たっぷり肉みそ』。
濃いめで旨味が強い味噌が豚肉に絡んだ逸品。そこに強めの酸味が更に絡むことで、相互の良さが掛け算のように響き合う。強い旨味、華やかな酸味、口当たりが格別にまろやかで柔らかくなる。冬に飲むと、この温もりが一層愛おしい。
ここに、淡白な旨味の鶏むね肉を使った唐揚げをこの肉みそにつけてみたところ、味や食感までジューシーで柔らかくなったかのように感じた。
この肉みそは、湯豆腐などに添えても美味しいと思う。また、味噌繋がりで、会津名産の馬刺しと共に辛子味噌。これも合わせてみたら非常に美味しかった。馬肉の淡白な旨味も、この酒の酸味が良いアクセントになりつつ、辛子味噌の旨味がそのまま食べるよりも一層引き立てられた。
また、この酒の鮮烈な酸味を福島の郷土食と共に生かす場合は「ニシンの山椒漬」も相性良いと思う。山椒漬の風味と酸味は、この酒の酸味と非常に相性良いに違いない。
あとは、福島名物の王道いかにんじん。甘味のある漬物は、ドライな口当たりの酒をまろやかにしてくれて、とても良いペアリングになる予感。いかにんじんは正月料理にもなるし。
肉を合わせる場合、少し強めの油とフレッシュさがあった方がいい。
手元にあった明太イカの乾物を合わせても悪くなかった。この酸味は、魚介類には相性よさそう。その意味では、やはりニシンの山椒漬はイチオシ。一方で、明太子由来の辛味や魚卵の風味はニュートラル。それほど合う感じでもないが、合わないわけでもない。
また、これはいい!と思ったのは、松川浦産のあおさを使用した、ぬか茂の『あおさ塩かりんとう』。
かりんとうの油の旨味がこの酒に溶け込んでまろやかな口当たりにしてくれる上、適度な塩味。後味に香るあおさの風味には意外性がある。福島名物でもあるし、これは是非試してもらいたい。
それでは、いよいよ今月のfukunomoペアリングにいってみましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット
・会津銘産 もも肉の馬刺し <福島県会津若松市/会津畜産>
・チーズ入り やなぎっこ <福島県いわき市/夕月>
・おそうざい 国産胡麻ごぼう <福島県伊達市/ヴィルタス>
・白菜の浅漬け <福島県いわき市/西野屋食品>
・とろ〜りショコラ 霧幻峡 <福島県会津若松市/太郎庵>
・会津銘産 もも肉の馬刺し <福島県会津若松市/会津畜産>
県内に牧場をかまえる会津畜産から、本場の良質な馬刺し。会津の馬刺しは全体的に赤身が強く、しかし思いの外に臭みは少ない。噛みしめるほど肉本来の旨味を堪能できる銘品。地域を代表した名物になるには、やはり理由があるのです。
ただし、このチョイスはfukunomoとして、かなり予算オーバーのはず。ただでさえ高級な馬肉の中でも刺身に出来る最高級品は限られ、価格も当然高価になります。「勝手にペアリング」は気ままなので確かに馬肉が合うとはイメージしましたが、年末とはいえ、本場の高級食材を惜しみなく本当に入れてくるとは!今月号を注文した人は特にラッキーですね。
肝心のペアリングは、まさにイメージした通り。滋味とも言えるじっくりした旨味に『会津士魂』の酸味を合わせることで、肉と酒の風味と旨味が双方、よりグラデーションが深く広くなる。ここに辛子味噌を添えれば、小気味良い辛味と味噌のしっかりした旨味がじわじわと広まり、冬の夜の酒席に華やかさ、温かさを着実にプラスしてくれる。これはしみじみと美味しい上、会津にいかずとも会津観光を楽しんでいる気分になれますね。
・おそうざい 国産胡麻ごぼう <福島県伊達市/ヴィルタス>
胡麻の香ばしさとごぼうのシャッキリした食感が魅力の一品。『会津士魂』の酸味が、ごぼうのややワイルドな土の香りさえも魅惑的な香味として包括し、胡麻の濃厚な旨味とも相まって、驚くほど芳醇な味わいのハーモニーを生み出します。
こういうのこそ、ペアリングの妙ですね。美味しい!
・白菜の浅漬け <福島県いわき市/西野屋食品>
シャキシャキとした食感が心地よい浅漬け。淡い塩味と白菜の甘みが『会津士魂』の酸味と絶妙に絡み合い、飲み飽きしない爽やかなペアリングを楽しめます。箸休め、あっさり系のおつまみとして最適。
さらにfukunomoによれば、
『「塩で呑む」をヘルシーに叶えてくれます。福島に限らず、冬の東北の食卓を全国の皆様にお届けします』とのこと。
確かに、素朴な塩味を酒と合わせることは酒の味わいをより純粋に引き立てる、シンプルながら実は奥深いペアリングでもあります。ぜひこの酒とじっくり向き合い、その深淵、真髄、ポテンシャルの片鱗を覗き込むつもりで試してみてください。
・チーズ入り やなぎっこ <福島県いわき市/夕月>
続いては、いわき市の『チーズ入り やなぎっこ』。夕月は郷土の老舗かまぼこメーカーです。
「勝手にペアリング」でも感じたように、魚介類の旨味は、この酒との組み合わせでさらに奥深くなります。淡白ながらも出汁の旨味が効いていて、かまぼこ特有のつるんとした食感、口当たりがひんやりして心地良い。
さらにこのかまぼこ、卵を模して加えたチーズの芳醇な旨味が非常においしい。これがまた、『会津士魂』の酸味と見事なコントラストを楽しませてくれる。全体に緩急を付けてくれる、重要なおつまみです。
・とろ〜りショコラ 霧幻峡 <福島県会津若松市/太郎庵>
fukunomoからのレビューによれば、「今回一番、冬のあたたかさを感じるのがこちら。さっくりとしたクッキーの中には、なめらかなチョコレートが。ここに『会津士魂』を合わせると、なんとも高級感のあるチョコレートに変わります。デザートではなく、おつまみとして楽しんで頂けるお菓子をみつけました」とのこと。
なるほど、濃厚なショコラと『会津士魂』の甘みが織り成すペアリングは、酒と甘味の調和が、まるでワルツを踊るようなリズムを生み出し特別な夜を彩る逸品。余韻の心地よさは特筆すべきで、食後の〆としても存分に堪能できる逸品。最後に満足感を更に高めてくれますね!
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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