清冽な水のような透き通り、思わず心を奪われるようなキレと爽快感ある味わい。南郷のそれは特に強い。|(2025年4月|矢澤酒造店) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

清冽な水のような透き通り、思わず心を奪われるようなキレと爽快感ある味わい。南郷のそれは特に強い。|(2025年4月|矢澤酒造店)

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

 

【連載第80回目】

澄みきったキレと軽やかな爽快感──いつもながら、南郷は「淡麗」という言葉が実に良く似合う美酒だ。その一杯に注がれるのは、この清冽な水のような透き通り、思わず心を奪われるようなキレと爽快感ある味わい。これは福島県南の酒に多く見られる特徴とも言えるが、南郷のそれは特に強い。

一方で、飲み進めるほどに移ろう表情もまた、この酒の面白さである。

初めに感じた清廉な気配の後、口内で温められることでやわらかな「ふくみ」が、控え目ながら花開く。「福島の酒」の多くに通底するそれが、雪解けに芽吹く春菜のように心地よい余韻を残してくれる。そのコントラストが理想的な食中酒として料理により深い輪郭を与え、より多彩で豊かな楽しみを描き出す。何より、特有のキレが「飽きなさ」を演出するため、湧き水や清流のように滾滾(こんこん)と飲み続けられてしまう。

いわば、「思うが儘の時間」を楽しめる酒。それは正に、酒という存在が単に「味」「栄養」として以上の価値を生み出す本懐的な魅力でもある。
この酒と共に、尽きぬ賑やかな語らいや穏やかな団欒も良し。
あるいは逆に独り黙し、静寂と愉しむのも佳い。
それらのいずれも、かけがえない瞬間に変えてくれるはずだ。

定番酒「南郷」に魅了され、2016年に矢祭町へと移住し蔵元になった矢澤さん。今回のひやおろしは、特に出来が良いためfukunomoラベルの特別仕様にて「熟成酒」として提供のご提案を頂いたとのこと。早速、試してみましょう!
 

■今月の美酒

・南郷 生詰め熟成酒 <福島県東白川郡矢祭町/矢澤酒造店>

勝手にペアリングを考えてみた

かなりキレが強いので、強い旨味や風味をトリミングしてくれる力が強い。
イワシなどの青魚、あるいはメヒカリやアンキモなど。これを炙ったものがいいと思う。炙られた肴のより強くなった旨味と共に、その温かさが口の中で酒を人肌燗にまで温め、キレから「ふくみ」に至るまでの表情の変化が一層感じやすくなる。味醂干しなども良いかもしれない。
その点で燻製の風味も、彩りを加えてくれてよいと思う。魚系の燻製を、さらに炙ったらかなりダイナミックに楽しめる予感。

当然、肉の脂にも合わせられる。更に、このキレの強さにはガーリックの強い風味や旨味なども合わせやすいと思う。山椒などの香辛料もおすすめ。
反面、唐辛子的なダイレクトな辛味は旨味が広がり難いので避けた方がいいと思う。なのでキムチ系は、もっと別の、ボディがしっかりした重厚な味わいの酒の方が良い。

季節は外れるけど、茹で枝豆との相性が良さそう。塩の素朴な風味、いわゆる「塩で呑む」が割と合いそうなので、豆菓子とか合わせるのも考えられる。

また、少しだけ優しい甘味も入れてあげたい。たとえば、小田原屋さんのべったら漬けなどが入るとバランス良いかも。甘めの味噌系でバランスをとっても良い。チーズは合わなくもないけど、この酒に合わせなくてもいいかな。
柑橘系の僅かな果汁やビター感があったら美味しいかも。柚子風味などはどうだろう? こうした香味を入れることで、更に花開く予感がする。

それでは早速、今月もfukunomoペアリングに行ってみましょう!

■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・やまと豚のやわらか黒糖角煮<田村市/ハム工房都路>
・サイコロ大根べったら<いわき市/西野屋食品>
・原木しいたけ<矢祭町/増子椎茸園>
・ピリ辛たけのこ<矢祭町/山のごちそう本舗>
・しらす山椒油漬<南相馬市/海鮮フーズ>

 

・やまと豚のやわらか黒糖角煮<田村市/ハム工房都路>

今回の南郷は、そのキレの強さから甘さがしっかり感じられるものを添えてあげると、食味全体の奥行きが更に広がって相性が良い。

ここに、とろとろ食感と甘さ、旨さが凝縮された、ハム工房都路の「やまと豚のやわらか黒糖角煮」を合わせる。

口の中で酒と豚の油の旨み・甘味が溶けあい、染み出される。旨味が口内全体に広がることで、その旨味が余すことなく味蕾を刺激し、よりダイナミックに「旨い!」を感じさせてくれる。一方で、やはり酒のキレの良さが良いアクセント。一気に来る芳醇な旨味を適度に食べやすく小分けにトリミングしながら、余韻を一層長く、深く、しみじみと楽しませてくれる。「やまと豚のやわらか黒糖角煮」の濃厚な甘みとコクが、酒のクリアな味わいを際立たせ、一口ごとに新たな感動を呼び覚ましてくれる。実に美味しい。

・サイコロ大根べったら<いわき市/西野屋食品>

続いては、いわき市の西野屋食品から「サイコロ大根べったら」。やさしい甘さがありつつ、口内をさっぱりとさせてくれる漬物は米の旨味もしっかり感じられる一品。
お酒と合わせると甘酒を口に含んだような滋味で、少し味変をしたような感覚になる。角切りの食感も小気味良く、噛むほどに甘味がじわじわ染み出してくる。

改めて、こうした「じわじわ」と来る味わいは、この酒と非常に相性が良い。一方で、不必要なニオイはキレイにトリミングして更に美味しく食べやすくしてくれる。その点、さっきは候補に入れなかったものの、スルメなどの乾物との相性も良いかも知れない…などと、漬物を食べながら頭に浮かびました。

・原木しいたけ<矢祭町/増子椎茸園>

旨味が強いしいたけは、実は近年、ヨーロッパなどでも「Japanese Mushroom」として人気を博している食材でもあります。

実は福島県の中通りと浜通りの間を連なる阿武隈山系は、昔から特に高品質の原木椎茸を産出することで有名でした。今回お届けする原木椎茸は、矢澤酒造店さんと同じ矢祭町、阿武隈山系からお届けです。
上質かつ、特に香りの高さが特徴の原木椎茸は様々な食べ方で楽しめますが、fukunomo編集部のイチオシの食べ方は、「水分がでないよう、少しの油と塩で焼くだけ」とのこと。こうすることで、土瓶蒸しのような上品な香りと旨味が溢れてくるそう。素直にしたがってみます。

以前のfukunomoで試した「逆さにして素焼きする」も香り旨味が非常に良く出るのですが、確かに今回の酒には「少しの油と塩」を足してあげた方がペアリングとしてうまく機能しますね。口当たりが滑らかになり、溶け込んだ香味が酒と混じり合う、まさにここでも「滲み出る旨味」がポイント。

・ピリ辛たけのこ<矢祭町/山のごちそう本舗>

続いてのの一品は、今食べた原木椎茸を育てる増子さんのもう一つの顔である、人気のおつけもの・総菜屋「山のごちそう本舗」さんから「ピリ辛たけのこ」。地元産のたけのこを、少しピリ辛な醤油味に仕上げた季節感ある一品です。

やはりここでも、香味と仄かな甘味、油とたけのこそれぞれの旨さの絡み合いが魅力的。先ほどの漬物と共に、食感も魅力です。シャキシャキした歯ごたえと、しっとりした醤油の甘さや塩辛さとの絡み合いがリズミカル。春ならではの、どこか晴れ晴れしい感覚にも似た心地良さを感じさせてくれます。

・しらす山椒油漬<南相馬市/海鮮フーズ>

今年はしらすが不漁であったとのことで、貴重な一品。
これもお酒に合わせると、山椒の爽やかな香味と油の芳醇な旨味が、まさに求めていたイメージ通り。山椒や独特のスパイスが香る料理との組み合わせは、酒のキレの鋭さと絶妙にマッチし、旨味が口いっぱいに広がる至福の一時を演出してくれます。

しらすはじっくり噛みしめるほどに、出汁のように旨味が滲み出てくる。口内でぬる燗のように温められた酒と合わさって、出汁割、あるいはイワナの骨酒やフグヒレ酒にも似た趣を感じる。そこにアクセントとなる山椒が、酒のキレとも非常に良くマッチ。癖になる一品ですね。


今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?

fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。

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申込期限2025年4月10日(木)まで